原油流出へ「フタ作戦」成果 オバマ氏は「楽観できぬ」
米南部ルイジアナ州沿岸の島で3日、原油まみれになった野鳥=AP
【ニューヨーク=田中光】米南部沖のメキシコ湾で続く原油流出で、海底にある油井の安全弁にフタを設置して、原油を海上のタンカーに吸い上げる作戦が始まった。4日、国際石油資本の英BPなどは一定の成果を得ているとしている。徐々に回収する勢いを増していくという。
原油の流出を完全に止める抜本的な対策は8月までかかる見通し。その間の対策として、原油が流出し続けるパイプを安全弁から切り離し切断面にフタをして原油を回収する作戦だ。BP側は「うまくいけば、流出量の9割を回収できる」と期待している。
また、オバマ大統領は同日、5月28日に続き、3度目の現地入りを果たした。BP側がこれまでに数々の失敗を重ねているため、「楽観できない」と述べ、失敗した場合に備えて予防線を張った。
BPがイメージアップのCMや株主配当のために巨額の資金を費やしている一方、BPによる地元住民への被害補償が遅れていることにも触れ、「BPは沿岸住民に道義的かつ法的な責任を負っている」と企業姿勢に怒りをぶつけた。
流出は44日目に突入しており、いまも1日当たり約1900キロリットルから約3千キロリットルが流出。原油が漂着するなどしてルイジアナ州の一部の砂浜は閉鎖されている。フロリダ州の海岸にもタール状の原油が漂着し、環境汚染の範囲は広がっている。
一方、原油まみれの野鳥が増えるなど、自然への影響もどんどん深刻化している。対策本部によると、4日までに、原油が関連しているとみられる死骸(しがい)は、野鳥が527羽、海亀が235匹、イルカなどの哺乳(ほにゅう)類が30頭みつかっている。環境保護団体などにボランティアが集まり、原油まみれのペリカンなどを保護・洗浄しているが、作業が追いつかないのが実情だ。
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