マツダの「アクセラ」には、何分アイドリングストップしたかを表示する画面がある。同社によると、都市部を60分走ると20~30分もエンジンが止まることがあるという
信号待ちなどの時に、エンジンを自動的に休止して燃料を節約する「アイドリングストップ」機能のついた車が増えてきた。以前から実用化されていた技術だが、マツダが昨年から積極的に売り出した。顧客の低燃費志向が強くなっており、他の社にも商品化の動きが広がっている。
「最大で10%ほど燃費が向上します」。マツダは昨年6月、アイドリングストップ機能「i―stop(アイストップ)」を小型車「アクセラ」に初めて搭載し、こんなうたい文句で市場投入した。
ブレーキを踏んで車が止まるとエンジンも自動休止。ブレーキから足を離したり、ハンドルを切ったりするとエンジンが再始動する。再始動にかかる時間を、従来の半分の0.35秒にしたのが特徴だ。
休止中はエアコンは送風状態となり、カーナビなどは動く。エンジンが暖まっていない時やバッテリーの充電が不十分な時は止まらなかったり、止まってもすぐに再始動したりする。
その後もミニバンの「ビアンテ」と「プレマシー」に搭載車を設定。プレマシーでは、アイストップ付きモデルは、燃費が1リットル15キロから16キロに
改善。ついてないモデルに比べると、横滑り防止機能がつくことなどもあって10万円以上高いが、顧客の8割が搭載車を選んでいるという。
日産自動車は7月発売の新型「マーチ」に搭載モデルを設定した。搭載車は燃費が1リットル24キロから26キロに改善。装備の違いで20万円以上
高いが、顧客の8割が選択しているという。スズキは8月、主力軽の「ワゴンR」に搭載モデルを追加。田村実専務は「今後も、あらゆる車に導入していく」と
話す。
アイドリングストップ機能は、停止時間が長い路線バスなどで1990年代から導入が広まり、今ではほとんどの路線バスに搭載されている。トヨタ自
動車の「プリウス」などハイブリッド車でも一般的だ。トヨタは01年から今年7月末まで、小型車「ヴィッツ」の一部にも搭載していた。メーカー関係者は
「燃費競争が激しくなり、燃費の『伸びしろ』が小さくなっている中、少しでも改善させられるのは魅力的だ」と語る。
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アイドリングストップ機能がない車でも、自分でこまめにエンジンを切れば燃料の節約になる。財団法人省エネルギーセンターによると、排気量2リッ
トルの車でエアコンを動かしながら10分間アイドリングすると、燃料を250ccほど使う。再始動にアイドリング5秒分の燃料を余分に使うため、5秒以上
止まるならエンジン停止が有効だ。
ただ、同時に安全装置なども動かなくなる恐れがあるので注意が必要だ。エアバッグは、ほとんどの車でエンジンキーがオンの位置にないといざという時に作動しない。
また、最近はエンジンの力でブレーキ力を増やしている車が多く、こうした車でエンジン停止時に何度かブレーキを踏むと利きが悪くなる。停止したま
まエアコンなどを使い続けるとバッテリーが上がる恐れもある。自動アイドリングストップ機能では運転状況を監視し、こうした状況になる前にエンジンが再始
動するといった対応が取られているほか、バッテリーや、エンジンを始動するモーターも強化されているのが一般的だ。
燃料の無駄遣いを減らすための講習会などを開いている日本自動車連盟(JAF)の担当者は「待ち合わせやちょっとした買い物など、安全が確認でき
る場所ではこまめにエンジンを止めたほうがいい。ただ、無理に止めると逆に危険を招く可能性もある」と注意を促す。(Asashi.com 西村宏治)
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