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2010年8月7日 コゲラの会都立水元公園夜間観察会

  • お祭り状態
    暑い夏です。水元公園は夜を迎え風が心地よくなりましたが、林の中は湿度が高かったです。残念ながら昨年に続いてのノコギリクワガタ観察にはいたりませんでしたが、クツワムシの大量発生を確認できました。東京23区内ですよ。

環境浄化植物

  • 2010/5/10
    環境浄化植物「サンパチェンス」を一人でも多くの人に知ってもらうため、ここではサンパチェンスのことをちょっとだけ詳しく紹介していこうと思います。

第二回エコツーリズム

  • Park2odaiba_019
    2010年3月28日に実施された第二回エコツーリズムミステリーツアー(浜離宮庭園とお台場第六台場)のカワウ探求ツアーです。

第一回エコツーリズムin水元公園

  • Img_8958
    水元公園で行われたタカエコ・橋本プロの自然観察会の写真集です。

2009 かつしかっ子探検隊

  • Takasagowoodstock2009_017
    2009/10/10 荒川河川敷自然公園、天高く馬肥ゆる秋、秋空の下、かつしかっ子探検隊(葛飾区環境部環境保全課主催)が開催されました。 講師は、タカエコ(福岡清治郎)とプロ自然案内人の橋本浩基さんです。 当日のプログラム ・植物たちの越冬戦略 - くっき虫を探してみよう -  コセンダングサ・アメリカセンダングサ・オオモナモミ等多数 ・秋の虫観察  コオロギ・バッタ類、カマキリ等 ・秋のギフト  六つの部屋のある箱にグループ毎に色々な自然の贈り物を詰め込みました。

2009年8月8日 コゲラの会都立水元公園夜間観察会

  • ウスバカミキリ
    コゲラの会に講師として招かれたタカエコ。午後三時よりクヌギの木にトラップを仕掛けます。果たして結果は?

スプリングエフェメラル

  • アズマイチゲ
                       

わたしにできること

  • 省エネ家電の導入
    身近な工夫から新エネルギーを使用した大きな提言まで、エコカルタも含めて収録してあります。ぜひ、今から実行してください。

東京23区秋の鳴く虫観察会

  • カネタタキ
    東京23区内でも十数種の鳴く虫を楽しむことができます。 聞きなしは、習うより慣れろで、場数を踏むしかありません。 生息環境、住み分けを知っていればこの半分はわかります。 頭上の樹木にいるマンション族、これはアオマツムシだけです。 腰から頭くらいの中層の住人、これらは、カンタンとカネタタキだけです。残りのほとんどが地面にいるジベタリアンです。 秋の夜長をお楽しみください。

タカエコ映像集

世界の最新AFPBB Newsを写真付で記載

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地球を救え!

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都会のナチュラリスト入門講座ー土手・街のバッタたち

  • スズムシ
    バッタ・コオロギ・カマキリinTokyo23区

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・野鳥編

  • オシドリ
    都会の身近な自然を通して、一人前のナチュラリストに養成します ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・虫たちの越冬戦略編PART1

  • アケビコノハ
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タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・街路樹編

  • ハナミズキ
    都会には、たくさんの街路樹があります。二酸化炭素の削減はもちろん、防火の延焼防止や交通事故を防ぐ誘導木として、また、騒音の緩和にも利用されています。何といっても私たちを楽しませてくれるリラクゼーション効果最高の贈り物です。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・食い物編

  • アユ
    さあ、春間近です。春になると都会でも食べれる野草が採れます。ちょつと足を伸ばせば更に、おいしく食べましょう。食べれるものは何でも扱います。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座 むしたちの越冬戦略 PART2

  • クロナガオサムシ
    タカエコの都会のナチュラリスト養成講座 むしたちの越冬戦略 PART1には、本来51枚の写真が掲載してありましたが、サーバーとの相性が悪く、全部反映されませんので、こちらに半分移しました。 サムネイルの写真の上をクリックするとそのむしにいけます。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコのナチュラリスト講座ー知ってて欲しい帰化動物たち

  • ワカケホンセンインコ
    多くの移入種が、帰化動物となって生態系に脅威を与えている現状を理解しましょう。 タカエコトッブページへは、左上アドレスをクリック!

都会のナチュラリスト入門講座ー都会のセミ事情

  • 羽化殻
    都会(東京23区)のセミは6種類 何がいるのかな? 2008年近況 5月の低温・多雨を受けて、アブラゼミ・ミンミンゼミが数を減らしています。湿地の好きなニイニイゼミは逆に数を増やしています。 ツクツクボウシも例年より一週間程、早く出ています。 出前講座の受付は、以下まで! takaeco1@w5.dion.ne.jp 2008年度は満杯でお受けできません。来年の予約は承ります。

動物たちの事件簿・生態系編

  • ハリネズミ
    生態系のピラミッド 底辺が狂ったり、最上部がいなくなったりで崩壊の危機。 見て、実証してください。 報告は、以下へ。 takaeco1@mcn.ne.jp

生物たちの事件簿

  • ツマグロヒョウモン
    人為的な行為によって、各地で様々な事件が勃発。

エコカルタ

  • グリーンコンシューマー
    WG 使使 WG

世界一不思議な場所・東京都上野不忍池

  • キンクロハジロの一団
     世界一不思議な場所、それは、東京都台東区上野の不忍池。 人々が、冬に渡来した冬鳥の鴨やユリカモメに餌付けをして、すっかり彼らは、警戒心を無くし、人間に媚びることで生活しています。 関連ページ http://takaeco1.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_76bc.html

屋上緑化 -『ストップ! ヒートアイランド」

  • ガイアの夜明けより
    この100年で東京の平均気温は3.0℃上昇した。

サンゴ白化現象

  • ブダイとサンゴの関係
    サンゴ白化現象(はっかげんしょう)とは

首都圏近郊桜の名所

  • 千鳥ヶ淵
    東京近郊の桜の名所 サムネイルをクリックして下さい ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

環境先進国

  • Pasta
    欧州を中心とする環境先進国のお話

ごみ問題

  • 携帯電話のリサイクル
    富士山がなぜ「世界遺産」の指定をうけられないのか? それは、「ごみ」が原因なのです。

ごみ問題

柴又小学校総合学習の時間

2007年 かつしかっ子探検隊

  • ムラサキツバメ
    葛飾区環境部の企画で区内の小学校のエコクラブをサポートするのが「かつしかっ子探検隊」。色々な企画でその道の専門家を招いて、隊員をサポートします。

街並みウォッチング

  • 街並みウォッチング終了
    知らない町を五感を使ってそぞろ歩き。

  • 森の木と牡蠣の養殖の関係
    地球上に存在する水の量約14億キロ立米のうち、海水が96.5%、淡水は2.5%で、陸地表面にある水(表面水)は10万キロ立米で、全水量の10,000分の1以下。

2007年 中央区環境講座

  • 2008年7月3日の講座1
    2007年8月18日の講座風景

葛飾区・自然環境レポーター・50の生物指標

  • ヒヨドリ
    2008年 葛飾区自然・環境レポーター研修 講師 タカエコ 環境カウンセラー 福岡清治郎 2008年9月1日 19:00 葛飾区ウィメンズパル二階視聴覚教室 ・50の指標生物 ・動物たちの事件簿 ・わたしのできること 2時間 http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/141/014163.html

地球崩壊 - 人類への警鐘 -

  • UCLA サットン教授の講義
    2008年2月6日よりタカエコの小説が始まりました。不定期更新ですが、ご購読お待ちしています。

Google Earthの学習利用・講座利用の考察

  • フードマイレージ
    Google Earthの小中学校の総合的な学習の時間、多岐にわたる授業への活用、市民講座・環境講座への利用など、活用方法を考察していきます。新しい展開と手法なので、概略を紹介しますが、データが蓄積され次第、詳しい記述を書き足していきます。

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水危機

2010年8月15日 (日)

アジア、水争奪戦 中国のダム開発、流域国との火種に

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建設が進む糯扎渡ダム。中国のメコン川上流域では大規模なダム建設が相次いでいる=中国雲南省、橋本弦撮影

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 国境をまたぐアジアの大河で、新たな対立の火種が生まれようとしている。

 チベットからインド、バングラデシュに流れるブラマプトラ川。「上流で中国がダムを建設中」とインド紙が1面トップで報じたのは、昨年10月のことだ。人工衛星で着工が確認されたのだ。

 中国側は、5基のダム建設計画が進んでいることを認め、電力需要の増加に対応する水力発電用のダムで、常時放水するため下流域に影響はないと説明した。

 しかし、中国側の思惑次第で水量をコントロールされてしまうのではないか、とインド側は懸念を募らせる。1962年に、国境紛争で戦った両国。インド国内の研究者からは「中国が水という武器を手にした」という論調さえ出てきた。

 懸念はダムにとどまらない。インドのエネルギー資源研究所の水問題担当、アショク・ジェトリー部長は「中国はブラマプトラ川の水を、自国へ引き込もうとしているのではないか」と話す。

 彼が指摘するのは、中国政府が進める「南水北調」計画。水資源の豊かな中国南部の水を、水不足の北部に送る大事業だ。現状では国内河川から取水する計画だが、国際河川からも取水する案がくすぶる。そうなれば根こそぎ水資源が奪われる、とインド側は恐れている。

 英国国防省の2007年の報告書も「水問題は、軍事行動や人口移動を誘発する可能性を高める。中国がブラマプトラ川の流れを変えようとすれば、リスクは大きい」とこの問題を取り上げている。

 中国外務省は「中国は責任ある国家だ。他国の利益は損なわない」とインドの懸念を否定している。

 中印は、雨期に水利情報を交換する覚書を結んでいるが、インド外務省のゴータム・バンバワレ東アジア局長は「今後は中国との(開発問題を協議する)河川協定が必要になる」と語る。

 中印のような構図は、インドシナ半島にも見て取れる。今春、一帯が大干ばつに襲われ、メコン川は過去50年で最低の水位を観測。流域国は農業や漁業などに被害を受け、タイやベトナムからは、上流の中国で相次ぐダム建設を非難する声が上がった。

 タイ北部の町チェンコーン。7月下旬、メコン川の漁師(60)は渋い表情だった。雨期になっても水位が低く、漁獲は例年の半分以下という。

 タイの環境NGOのジラサック・インタヨットさんは「少雨だけのせいじゃない。中国のダムが水をためているからだ。同じチベットから流れるタンルウィン川は、ダムが少ないから水位が高い」と主張する。

 実際にメコン川上流の中国雲南省では、国内の電力需要をまかなうため、巨大ダムの建設ラッシュが続いている。茶の産地として有名な普●(プーアル、●は「さんずい」に「耳」)市では、大型の原発5基分にあたる550万キロワットの水力発電ダムの工事が進む。糯扎渡(ヌオツァートゥー)ダムの貯水量は、日本一の徳山ダム(岐阜県)の30倍以上。流域最大の発電所になる。

 これを含めて15のダムをつくる計画で、10年後の総発電容量は2500万キロワット。世界一の三峡ダムを上回る。

 ブラマプトラ、メコンの上流のダムが、下流に悪影響を及ぼすかは明らかでない。国際機関・メコン川委員会は「ダムはまだ本格稼働しておらず、今のところ影響は少ない」と話す。それでもダム建設は、上流国を非難する口実になりうる。

 アジアには世界人口の6割が暮らすが、地球上で利用できる水資源の36%しかない。今後の経済発展や地球温暖化の進行で、水不足はいっそう深刻化するだろう。水問題は、アジアの安全保障の課題になりつつある。(asashi.com 竹内幸史、広州=小林哲)

2010年3月21日 (日)

中国で水不足 5千万人超に被害、経済損失2500億円

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Rtr201003200022 中国貴州省で14日、干上がった貯水池を歩く牛たち=ロイター

 【広州=小林哲】中国雲南省など南西部の広い一帯で、昨秋から雨が少ない天気が続き、深刻な水不足が広がっている。20日付の中国各紙によると、5千万人以上が影響を受け、農作物などの経済損失は190億元(約2500億円)に達した。干ばつは今後もしばらく続くとみられ、中国当局は警戒を強めている。

 新華社電などによると、被害は雲南省のほか重慶市と貴州、四川各省、広西チワン族自治区の5地域に及び、17日時点で住民約1600万人、家畜約1100万頭の飲み水が不足している。干ばつの被害を受けた耕地は、東京都の約20倍の4万3千平方キロに達し、そのうち約2割の耕地では、農作物の収穫が見込めなくなった。

 当局は現地での給水活動に力を入れているほか、人工降雨などの対策も取っているが、効果は出ていない。

 特に被害が大きい雲南省などの一部地域では、降水量が例年の3割以下に落ち込み、水力発電ダムの貯水量も大幅に減少。広東省など沿海部の都市への電力供給はできなくなり、地元でも電力不足が続いている。雲南省の特産物のプーアル茶や国内市場の約8割を占める生花の出荷にも影響が出始めている。

 現地紙は、雲南省などの被害の深刻さを「100年に1度」などと報じている。

2008年6月13日 (金)

「命」の危機、世界で表面化


桟橋のはるか向こうに船着き場が後退したミード湖。周囲の山肌には過去の水位を示す跡が残る(昨年12月8日、米国ネバダ州で)=小西太郎撮影

雪や氷河が解け、流れ落ちるような白い筋が確認できたキリマンジャロ・キボ峰付近。後方の頂はキボ峰から約12キロ東にあるマウェンジ峰(昨年11月22日、タンザニアで)=読売新聞社チャーター機から・板山康成撮影

安全で清潔な水を求める人々が列を作っていた(昨年11月11日、ウガンダ東部のオオンゴラ・キャンプで)=板山康成撮影

降雨量の減少で干上がった西湖。ヒマワリの枯れ枝があった(昨年12月12日、中国・内モンゴル自治区の奈曼旗で=野本裕人撮影

干上がった文瀛湖に広がるトウモロコシ畑(昨年11月30日、中国・山西省の大同市で)=野本裕人撮影

 乾ききった地面の上に、場違いな木造の桟橋がぽつんと取り残されていた。米南西部のネバダ、アリゾナ両州にまたがるミード湖。船着き場ははるか400メートル先だ。異様な光景が目に焼き付いた。

 「つい6年前まで、この桟橋の近くで本当に釣りができたんだ。信じられないだろうがね」。60キロ先のラスベガスに水を送る「南ネバダ水組合」職員、ジェイシー・デイビスさん(42)が真顔で言った。

 ミード湖は1935年にコロラド川をせき止め、フーバーダムを建設した時にできた米国最大の人工湖。2000年以降、水源のロッキー山脈の雪解け水が年々減少、水量が豊かだった83年のピーク時と比べ、水位は29メートルも下がった。

 中国の内モンゴル東部にある西湖では、かつての湖底で枯れたヒマワリが揺れていた。養殖のコイがおいしいと評判だった外周約50キロの湖は、干ばつで01年に干上がった。「昔はにぎやかでよかった。今は水がないのに湖の管理ですよ。悲しいことです」と西湖管理所の李世民主任は声を落とす。

 管理所で働く100人の最近の仕事は、湖底でのトウモロコシの栽培と植林。04年に干上がった山西省の文瀛(ぶんえい)湖にも今はトウモロコシ畑が広がる。

 氷河と雪の減少が進むアフリカ最高峰キリマンジャロ(タンザニア)。昨年11月、本社チャーター機から見ると、山頂のあちこちで山肌が露出し、気候変動の影響をうかがわせた。

 昨年、記録的豪雨による洪水に見舞われたウガンダ東部の国内避難民キャンプでは、ドイツの緊急援助隊が作った井戸に人々が列を作っていた。井戸が壊れ、水不足に陥った被災者の一人はこうつぶやいた。

 「水がなければ食事も作れない。水は命だ」(環境ルネサンス取材班)

(2008年1月28日  読売新聞)

タカエコ小 タカエコ Q タカエコ

2008年6月12日 (木)

一滴の格差


年上の子供たちが使った残り水をたらいにためて、入浴するカマリキちゃん(ケニア西部のビヒガ県ゴトカビンディ村で)=板山康成撮影

子だくさんのアンブラ家。昼食は、庭の一角で地べたに座って食べることが多い=板山康成撮影

風呂の残り湯を洗濯に使う名本千枝さん(東京・目黒区で)=吉岡毅撮影

たらいを使ってタオルをすすぐ趙さん。洗濯が終わった後、残った水はトイレの水として再利用された(中国・山西省の大同で)=野本裕人撮影

水道を流しっぱなしのまま歯を磨く、コプリー家長女のマディソンさん(左)と長男のジャック君(米国・ミシガン州デトロイトで)=小西太郎撮影

 気候変動による干ばつの増加、水源の汚染……。生活に欠かせない水に、危機が忍び寄る。だが世界中どこでも、水が生命をはぐくむことにかわりはない。

 アフリカのケニア西部にある村ゴトカビンディ。11人家族のハンフリーズ・アンブラさん(53)宅で、水浴びが始まった。サトウキビ畑の前のたらいで、9人の子供たちが、近所のおばさんに順番に体を洗ってもらう。

 末っ子の男の子、カマリキちゃん(生後8か月)の順番がやっと回ってきた。村には水道がなく、500メートル離れたわき水までくみにいく。入浴に使う水は9人で40リットル。お兄ちゃん、お姉ちゃんが使った後に洗ってもらうため、カマリキちゃんはいつも最後だ。

 食事は毎食家族そろって食べる。子供たちはマンゴーの木陰に仲良く座り、トウモロコシの粉に湯を注いで練ったウガリとナスのいため物をほおばった。

 「どっちがきれいに磨けるかな」。米国ミシガン州デトロイト郊外のコプリー家で、母親のシェリルさん(35)が長女のマディソンさん(7)と長男のジャック君(4)に呼びかけた。

 五大湖に囲まれ、水が豊富なミシガン州。流しっぱなしの水を見て、「もったいないぞ」と注意した父親のジェイソンさん(36)にも危機感はない。「水が枯れる心配? それはないね」

 中国山西省大同の趙広さん(39)宅は、一家で節水に励む。洗濯する趙さんが必死の形相で衣類を絞り上げる。すすぎ終わった水は二層式の洗濯機に入れ、別の衣類を洗うのにも使う。真っ黒になった水は最後はトイレに。

 「節水しなければ、最後の水はあなたの涙になりますよ」。夕食時、一家の食卓のテレビに節水を呼びかけるCMが流れた。

 東京都目黒区の主婦、名本千枝さん(36)宅では、風呂の残り湯をポンプで洗濯機に移して使う。日本では珍しくない風呂水の再利用だが、米国のコプリーさん夫妻は「信じられない」と驚いた。(昨年11月15日~12月22日に撮影、ペン・環境ルネサンス取材班)

(2008年1月27日  読売新聞)

タカエコ小 タカエコ Q タカエコ

2008年6月11日 (水)

(6)砂漠化、洪水 増える難民

内モンゴル自治区のベイレイでは家々が砂に埋もれ、人々が移住していった(2007年12月)=野本裕人撮影

 北京から北西に500キロ。内モンゴル自治区の乾燥地帯にある町ベイレイに住む安美容さん(50)は、迫り来る砂をせき止める土壁に四方を囲まれた家で、「お金がないから、引っ越せない」とつぶやいた。

 かつて交易で栄えた町は、毎春、西風に乗って襲来する黄砂で廃れた。地上をはうように押し寄せる砂が家々をのみ込んだ。西端にある安さんの住む地区に残るのは3世帯だけ。行政機関や商店は地形的に砂の飛来が少ない5キロ先に移転し、数十家族が移住した。

 温暖化で乾燥化が進む内モンゴル。人口増加で家畜が増え、80年代以降は草原の砂漠化が進んだ。政府は牧畜民などを半ば強制的に移住させる「生態移民政策」により、中国全土で70万人、内モンゴルだけで7万人をすでに移住させた。

 ベイレイの南東210キロの草原地帯で約300頭の羊を放牧していたテムルさん(31)は7年前、20キロ離れたタブンオト村へ移住し、牧場で乳牛を飼う酪農に転じた。円形の移動式住居パオからレンガの家へ、暮らしは激変した。

 「収入は以前の3分の2。草原は自由で良かった」。牛乳で作った酒を飲みながら、テムルさんは遠くを見るような目をした。

 昨年7~10月、記録的な洪水に襲われたアフリカのウガンダ。首都カンパラの北東250キロのオオンゴラ避難民キャンプでは壁がなくなり木の骨組みだけになってつぶれた小屋が目立つ。

 「ひざまで来た水が土壁にしみ込み、家が1週間かけてゆっくり崩れた」。壊れた小屋の跡で2歳の娘を抱いたイマキュレット・アグティさん(23)は途方に暮れた顔をした。

 夫と娘2人の4人家族。洪水後、被害を免れたキャンプ内の友人宅に身を寄せる。510家族のうち100家族の小屋がつぶれ、井戸も壊れた。飲み水はなく、ドイツの緊急援助隊が給水していた。「希望がない」と、アグティさんは目を伏せた。ウガンダ全体で5万人が家を失った。家畜のヤギや牛を強奪する武装集団の襲撃が多発し、10年前に100キロ東の山岳地帯を追われた。キャンプの災害責任者ステファン・オブワリンガさん(42)は「襲撃の後は洪水。一体どこへ行けばいいんだ」と嘆く。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、難民や国内避難民はアフリカだけで486万人(05年)。アントニオ・グレーテス高等弁務官は「気候変動は要因の一つ。今後も増え続ける」と見る。

 内戦で215万人以上の避難民が出たスーダン西部のダルフール地方。国連環境計画(UNEP)は昨年出した報告書で、「降雨減少に伴う砂漠化や農業の衰退が住民の争いを招き、難民増加を促した」とした。

 バングラデシュでは洪水で毎年100万人が家を失い、アルジェリアでは、砂漠化に伴って人口が都市に集中、一部が移民として欧州に流れ込み始めている。

 福田首相は26日、世界経済フォーラム年次総会で、「水問題は、温暖化が進む中で国際的に議論すべき課題。安全な水なくして健康なし、水へのアクセスなくして発展なし。水の有効管理に向け、国際協力を進めたい」と演説した。

 気候変動に伴う水危機で不安定化する世界。国際社会に手をこまぬいている時間はない。

生態移民政策
 農地や放牧地の拡大に伴う砂漠化の進行や、生態系の破壊を抑制するため、農牧民を移住させる中国の移民政策。砂漠化が進む乾燥地帯や、森林を伐採して農地が拡大する山間部などが対象とされる。

日本の経験 途上国で活用


「いくらでもあると思っていた水が減ってきた」。水が使い放題ではなくなったタンザニア・ムウェカ村で、キビ畑に水をまくムレマさん(昨年11月23日)=板山康成撮影

 川面は黒く、薄い膜が張る。中国山西省大同市の郊外を流れる桑干河。地元関係者は「流れているのは上流の工場の排水だけ」と打ち明けた。

 1980年代には川幅は200メートルあり、300キロ東の北京の水道水源だった。90年代末、工場の大量取水で水量が激減、川幅は10メートルになった。2年前には、下流の貯水湖でコイやフナなど300万匹が死んだ。

 国家環境保護総局によると、中国全土の工場、生活排水は年間524・5億トン(2005年)、水の汚染事故は482件に達する(06年)。水質汚染が限られた淡水資源を圧迫する。

 東京都世田谷区の無職、末永克彦さん(66)は東京五輪を目前にした64年夏、井戸のある自宅に近所の主婦たちが来て、おむつを洗っていたのを思い出す。空がスモッグでかすんでいた公害の時代。給水制限で日中数時間は水道が出ない。高台の住宅地には自衛隊の給水車が出動し、バケツを持った主婦たちが並んだ。

 8月に五輪が開かれる北京は、節水に必死だ。市当局は05年に節水規則を制定。市内のホテルを立ち入り調査し、水使用量が多い旧式の便器や蛇口を節水型に交換させた。今年は学校や病院にも節水器具の導入を進める。水不足や公害に悩む北京の光景は、高度成長期の東京と重なる。

 米カリフォルニア大名誉教授の浅野孝さん(70)は「水不足に悩む途上国に、日本は過去の経験を生かして貢献できる」と語る。カリフォルニア州で80年代、下水を再利用して農業用水に使うプロジェクトを実施した浅野さんは「地域ごとに必要な対策は違う。最先端の高度な浄水処理でなくてもいい。途上国が直面する問題を一通りくぐり抜けた日本は、各国の状況にあった最適な技術を提供すべきだ」と語った。

 川崎市は、アジアへの環境対策支援に力を入れる。昨年9月、市内のベンチャー企業が開発した「自転車搭載型浄水装置」を中国・瀋陽市の博覧会に出展。井戸や川が汚れた地域で活用できないか、両市で検討を進めている。北九州市も9年前から大連市に水道技術者を派遣、浄水場の水質管理を指導している。

 アフリカでは農業用水の効率的な利用が課題だ。

 キリマンジャロのふもとにあるタンザニアのムウェカ村。ドナス・ムレマさん(45)がホースでキビの葉に水を注いだ。NGOの支援で、わき水をパイプで引いた散水設備ができたのは、昨年3月。以前は各世帯が水路で引いたわき水を畑の畝の間に流しっぱなしにしていたが、今は必要な時だけ散水できる。

 日本の気象予測技術にも期待がかかる。水災害・リスクマネジメント国際センター(茨城県つくば市)は今月、人工衛星データから河川流量を予測、洪水や干ばつ対策に役立てるシステムをほぼ完成させた。

 東京大学生産技術研究所の沖大幹教授は「途上国の多くは限られた水資源を十分活用できていない。日本には、農業用水を無駄にしない農業技術がある。気象予測の精度が上がれば、渇水に備えて多めに貯水したり、あらかじめ水を放流して洪水被害を減らすことができる。日本は7月の洞爺湖サミットで具体的な協力に結びつく道筋をつけるべきだ」と話している。

 この連載は、編集委員 河野博子、科学部 佐藤淳、野依英治、社会部 森太、生活情報部 岡安大地、地方部 高倉正樹、大阪社会部 鈴木隆弘が担当しました。

(2008年1月27日  読売新聞)

タカエコ小 タカエコ Q タカエコ

2008年6月10日 (火)

(5)芝生はがし680億リットル節約

ラスベガスのゴルフ場では、節水のため芝生を取り除く作業が進められている(昨年12月7日、米国・ネバダ州で)=小西太郎撮影

 赤茶の砂と岩の風景。グリーンがポツンと残る。客を乗せたカートが、土ぼこりを上げて走り過ぎた。

 砂漠の真ん中にある米ネバダ州ラスベガス市。市内最大のゴルフ場「エンゼルパーク・ラスベガス」で、芝生をはがす作業が行われていた。「ゴルフ場ができる前の自然の姿に返すのです」とコース管理責任者のビル・ローレットさん(55)は説明する。グリーンやフェアウエーなどは残すが、芝生全体の3割が今年中に消える予定だ。

 きっかけは、地元の水道事業者「南ネバダ水組合」が9年前に導入した芝生除去奨励策。住民や企業が芝生を取り除くと、芝1平方フィート(930平方センチ)あたり1ドルが支払われる。奨励金は改修費用に消えるが、芝生が減る分、水道代だけで年20万ドル(2100万円)を節約できる。芝の手入れに必要な人件費、肥料代なども減らせる。

 水組合職員のトム・ブラッドリー・ジュニアさん(45)の自宅の庭には、赤茶色の土が敷かれ、紫や黄色の花々が咲く。どれも水やりがほぼ不要な砂漠の植物。2006年夏、芝80平方メートルをはがして水組合から約900ドルを受け取り、1万5000ドル(160万円)もかけて庭を造った。「ランタナやハイビスカスが春に一斉に咲くときれいなんだ」と目を細めた。

 水組合によると、奨励策導入後8年間で、芝生計9平方キロが消え、東京都民が使う水の16日分に当たる681億リットルが節約できた。

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 芝生が問題視されるのには、わけがある。全米水道事業協会が99年、12都市の1100世帯で水の使用量を調べたところ、59%は芝生の水やりやプールなどに使われていた。

 「米国人は、カーペットのように美しい緑の芝生にこだわる。その強迫観念を今すぐ変えないと」。南ネバダ水組合のパット・マルロイ代表(54)は、危機感をあらわにする。

 市から60キロ東にある同市の水がめ、ミード湖は、コロラド川の流量減の影響で、琵琶湖の1・3倍あった水の量(352億トン)がこの8年間で半減した。

 水組合は「水浪費捜査官」も導入した。

 「この家は明確な違反だ」。捜査官のフランシス・レイエスさん(24)が、車の運転席から指をさす。一軒家の庭で、スプリンクラーが回っていた。

 冬のラスベガスで庭の水やりが許されるのは週1回、12分のみ。曜日が決まっている。レイエスさんは、ビデオ撮影の後、「水の無駄遣いは禁止」と書かれた紙に日時を記入、ドアの取っ手に引っかけた。違反が2回以上続けば、最高2560ドル(27万円)の罰金が科せられる。

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 カリフォルニア州の州都サクラメント市は、市憲章で「家に水道メーターを取りつけてはならない」と定めている。水道料金は使用量に比例しない定額制。水道料金は18~30ドルの4段階で、部屋数に応じて違う。

 背景に、シエラネバダ山脈の雪解け水に恵まれたサクラメントと南の都市との対立の歴史がある。使わない水は水路を南へと流れる。「南にやるくらいならここで使い切ろう、という発想」(市当局)があった。

 カリフォルニア州で04年、水使用量に応じて料金が決まる従量制を取り入れ、各世帯へのメーター設置を義務づける州法が成立。州法は市憲章に優先するため、サクラメント市でも水道メーターに基づく料金徴収が2年後に始まる。

 水使用量が世界有数の米国で、水の大量消費の時代が終わろうとしている。

「小」に「大」は無駄2リットル


 「水がもったいないから、我が家では当たり前なんです」。東京都小金井市の主婦、横山智恵さん(34)は淡々と話した。

 夫と子供3人の5人暮らし。毎朝、出勤や登校前に込み合うトイレは、まとめて皆の分を流す。汚れの著しい衣類は、入浴時に洗面器で手洗いする。使った食器は、台ふきんをゆすいだ水につけてから、食器洗い機へ。3年前に家に雨水タンクを二つ付け、庭の水やりなどに使っている。

 故郷の宮崎県綾町には、わき水が点在する。「母が水を守る運動に取り組んでいたので、水を大切に使う気持ちが身についた」と智恵さん。昨年末に払った上下水道料金(2か月分)は7060円、上水使用量は月1万9000リットル。東京都による1人1日当たり平均水使用量から計算した月5人分3万6000リットルに比べ、53%と格段に少ない。

 京都市左京区の府職員、安田勝さん(50)宅では、車庫の地下にある2トンと1トンの雨水タンクからくみ上げた水をトイレに送り、洗車、庭の散水にも使う。使う水量は、6人家族で月に2万リットルに抑えられている。

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 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「原油や金属など資源価格が上がり、食品や日用品が値上がりしているが、給料は上がらない。燃費の良い車のように、省資源型の商品でないと売れないという流れは止まらない。節水は、当たり前になるだろう」と言う。

 しかし、暮らしの中で何をすればよいのかわからない、というのも実情だ。

 住宅設備機器メーカー「INAX」による意識調査(1550人対象)で「家で一番水を多く使うのはどこだと思うか」と聞いたところ、1位は風呂で、洗濯、炊事が続いた。東京都の実態調査などで水使用量が一番多いトイレを挙げた人は少なかった。

 日本トイレ協会の上幸雄(うえこうお)理事長によると、1回のトイレで実際は「小」なのに「大」で流すと、2リットルの水が無駄になる。

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わき水を利用した水舟。野菜は下段(手前)で泥を落とした後、中段でゆすぐ(23日、岐阜県郡上市で)=江口聡子撮影

 一畳ほどの大きさの石造りの水槽が3層になった「水舟」に、わき水が音をたてて流れる。岐阜県郡上市八幡町。主婦松森久子さん(76)が、夕食の鍋料理に使う白菜やニンジンを洗いに来た。自宅に水道があるが、「何より気持ちいい」ため、つい水舟に足がむく。ご飯を炊いたり、お茶を飲んだりするのにも使う。

 小道沿いなどにある水舟は、上段は飲用、中段はゆすぎ、下段は野菜や食器洗いに使う。その後は、集落の防火水槽に流れ込む。山のわき水を上手に使う昔ながらの「再利用」だ。

 わき水は全国に1万2791か所。それを賢く使ってきた例はほかにもある。

 生産工程で使う水を処理して再利用し、水の使用量を減らした企業が増えている。サントリーは、製品1キロ・リットルの製造に使う水の量を、1990年比で47%減らした。昨年完成した工場では、タンクのすすぎ用に使った水を浄化し、タンクの洗浄前の下洗いに再利用するなどして、使用量が従来の半分になった。

 商業、公共施設での再生水や雨水の利用も広がる。2005年度末には、全国約3000か所でトイレの洗浄水などに使った。

 しかし、NPO・雨水市民の会の村瀬誠事務局長は「まだ少ない」とし、こう指摘する。「今後、渇水が心配だが、ダム造成には金と時間がかかり問題も多い。雨やわき水など身近な水源の見直しが必要だ」

(2008年1月26日  読売新聞)

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2008年6月 9日 (月)

(4)井戸・水道  信用できない

ボトル水しか飲まなくなった先住民たち(2007年12月3日、カナダ・オンタリオ州の居住区で)=小西太郎撮影

 ペットボトル入りミネラルウオーター(ボトル水)の新商品が昨夏、北京のスーパーにお目見えした。チベット自治区の標高5100メートルの水を詰めた「5100チベット氷河ミネラルウオーター」。世界最高地点のレールを走る「青蔵鉄道」(延長2000キロ)で運ばれる。

 中国が2005年に消費したボトル水は、日本の7倍の1286万キロ・リットル。1999年の2・8倍に増え、アメリカ、メキシコに次ぐ3位だ。北京市内のスーパーで、大学生の張碧倫さん(20)は「衛生的なので僕たち学生もよく飲みます」と話した。富裕層をターゲットにした“チベットの水”の値段は9・6元(140円)と通常の5倍だが、「売り上げは上々」(メーカー)という。

 国家環境保護総局などによると、河川や湖の70%が汚染され、都市部の90%の河川は飲料水の水源に適さない。

 江蘇省無錫市では昨年、水源の「太湖」でアオコが発生し、水道水が腐臭を放った。スーパーにボトル水を求める市民の長い列ができた。専門家は「記録的な高温と少雨、工場や家庭の排水、農薬使用で湖が富栄養化した」と指摘する。

 国連開発計画(UNDP)によると、アフリカのサハラ以南47か国で暮らす7億2000万人のうち、水道や浄化装置のある井戸など、衛生的な水源を利用できるのは55%に過ぎない。

 「ボトル水は外国人が買うもの。安全でない水も沸かして飲むしかない」。ケニアの首都ナイロビに住む運転手、ジョセフさん(45)は言う。スーパーでは、2リットルのボトル水は80シリング(125円)。同じ金額でパンと牛乳が買える。月給1万5000シリング(2万3000円)のジョセフさんには高根の花だ。

 読売新聞と東京大学の共同調査に協力してくれたケニアの小学校教諭、ハンフリーズ・アンブラさん(53)は昨年、ひどい下痢で、病院に担ぎ込まれた。腸チフスと診断され、治療に月給の4分の1の2500シリング(4000円)がかかった。

 アンブラ家で使う水はうっすら濁ってみえる。アンブラさんは「妻と子供たちがわき水をくむ場所には小石や砂を敷き詰めた浄化装置があるだけ」と話した。

 米国、カナダ国境にある五大湖の一つ、ヒューロン湖。カナダ側の湖畔の町サーニアでは、190もの工場と隣り合わせで、先住民チペワ族が暮らす。化学工場の煙突から白煙が立ち上り、悪臭が漂う。小川や沼の岸には、「健康被害を及ぼす毒性あり。近づくな」と書かれたドクロ印入りの看板が立つ。主婦エイダ・ロックリッジさん(45)は「子供のころは、まだ泳げる小川や沼もあったのに……」と嘆いた。

 五大湖周辺では、水銀やポリ塩化ビフェニール(PCB)など有害物質が魚や鳥から検出されている。米加両政府は、43か所を汚染地域に指定。魚を食べる回数を制限したり、ビーチを閉鎖したりしている。

 サーニアを通る川の下流44キロにある別の先住民居住区。川の水質監視システムにより、有害物質が検出されると浄水場の取水口は閉ざされる。4年前、溶剤16万リットルが工場の排水口から流出した時は、4日間給水が停止した。96年には地下水の汚染も発覚、すべての井戸が使えなくなった。

 マイアミ族の最長老フォード・ソニーさん(92)は「井戸水が飲めなくなり、今は水道も信用できない。最近はもっぱらこれさ」と言って、テーブルの上のボトル水を指さした。

ボトル水 人気の裏で


ボトル水製造のため、上流の地下水がくみ上げられ、水位の低下が確認されている川(2007年11月27日、米国・ミシガン州スタンウッドの工場近くで)=小西太郎撮影

 大小の湖や沼が点在する米国ミシガン州のスタンウッド。人口200人の静かな町は2002年、大手食品メーカー「ネスレ」(本社・スイス)のボトル水工場をめぐる裁判で揺れた。工場が地下水をくみ出してボトル水の生産を始めたとたん、取水地の近くの湖や小川の水位が下がり始めたのだ。住民たちは「生態系に影響が出る」として、工場の操業停止を求める訴訟を起こした。

 原告住民団体の代表テリー・スウィアーさん(63)によると、裁判は1審で住民側が勝訴。06年に大量取水を禁じる州法も制定されたが、州最高裁は昨年、「企業活動を妨げることはできない」として差し止め請求を退ける一方、和解を勧告した。取水量をめぐる協議が続く。同様の裁判はフロリダ、ウィスコンシンなどにもある。

 スウィアーさんは「15年前には、ボトル水を飲むのは奇妙に思えたのに、今は皆がガソリンの3倍の値段で買っている」と語った。

 米国は世界全体の18%を占めるボトル水の最大消費国だ。06年の1人当たりの消費量は104リットル。過去5年で1・5倍になった。

 読売新聞と東京大学の共同調査に協力したミシガン州デトロイト郊外の会社員、ジェイソン・コプリーさん(36)の一家4人は毎月、計33リットルのボトル水を飲む。コプリーさんは「水道の水質に不安はない。でも16・9オンス(500ミリ・リットル)の35本入りが一箱たったの4ドル50セント(約480円)だからね」と話した。

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 10人中3人は家でボトル水を飲み、6割の人が「一度ボトル水を飲んだら水道水に戻れない」と考えている。清涼飲料メーカーが昨年、首都圏の約400人を対象に行ったアンケート調査で、そんな結果が出た。

 06年の日本のボトル水の総消費量は235万キロ・リットルで、20年前の29倍に膨らんだ。1人当たりの消費量は米国の6分の1に過ぎないものの、水道水は人気がない。

 共同調査に協力した東京都目黒区の主婦、名本千枝さん(36)は8年前から、浄水器を使う。「水道水は塩素がきつい」と千枝さんは言う。

 「浄水スタンド」を導入するスーパーも増えている。特殊な膜で水道水を濾過(ろか)し、不純物を取り除くタイプが多く、買い物客は専用のボトルにくんで帰る。三鷹市のスーパーでスタンドの行列に並んでいた男性(66)は「健康に良さそう。買い物のたびに利用している」と話した。

 東京都水道局の調査によると、水道水をそのまま飲む人は都民の半数。半数が浄水器を使い、ボトル水を「ときどき」「いつも」利用する人は7割に達する。

 水道水嫌いを食い止めようと、都も必死だ。浄水場に高度浄水処理を導入し、カビ臭の原因物質を取り除くほか、古い鉛製の水道管をステンレス製に更新するなどの「安全でおいしい水プロジェクト」を進める。

 世界の水事情に詳しいNGO「環境・持続社会」研究センターの佐久間智子理事はこう指摘する。

 「ボトル水の製造、輸送に必要なエネルギー、飲み終わった後のごみ処理のコストもばかにならない。世界にはボトル水に頼らざるを得ない人々もおり、全否定はできないが、ボトル水に頼り切り、暮らしに欠かせない水道水源を守る努力を怠ってはいけない」

(2008年1月24日  読売新聞)

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2008年6月 8日 (日)

(3)羊が死んだ 湖が消えた

かつての湖底は車の運転練習場となり、若者たちが車を走らせていた(2007年11月30日、中国・山西省大同市郊外の文瀛湖で)=野本裕人撮影

 過去50年で最悪の干ばつが昨年、中国・内モンゴル自治区東部を襲った。

 「8年前から気候が変になった。雨が降らず、地下水も6年前から枯れ出した」。被害が大きかった奈曼旗八仙筒鎮(なまんきはっせんとうちん)の農村。夫と2人でトウモロコシを作るテンマーレンさん(51)が沈んだ表情で語り始めた。

 昨年は、春から雨が全く降らなかった。平均気温が平年より1~4度も高い日が続いた。「20万人と牧畜57万頭の飲み水の確保が困難」。7月、新聞が伝えた。草の成長が悪く、通遼市では羊約2万7000頭が死んだ。

 約70アールの畑の頼りは地下水だが、水位は地下10メートルから50メートルに下がった。大型ポンプのある近所の人から畑にまく水を買う。ガソリン代を含め、1回約100元(約1500円)。少なくとも年8回必要で、年収の2割近くの費用がかかる。

 収穫前に大風が吹き、例年の半分に茎がやせ細ったトウモロコシはバタバタと倒れた。昨年夏、畑の前に立ったテンマーレンさんは涙が止まらなかったという。収穫は4割減った。

 内モンゴル自治区農牧業庁の担当者は、「昨年の干ばつで減ったトウモロコシの収穫量は3分の1。だいたい100万トンの減産になった」と明かした。

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 国際災害統計EM―DATによると、今世紀に入り、100万人以上に影響を及ぼす大規模干ばつが、27か国で発生。06年、オーストラリアでは全土に広がり、小麦の収穫量が前シーズンの4割に減少した。

 中国北部の629か所の観測点の経年変化を追った研究によると、1950年代に黄河流域より北の中国北半分の干ばつ面積は20%前後で推移していたが、90年代後半には60%に達するようになった。

 干ばつが続くと、湖や河川が干上がる。

 山西省大同市郊外の文瀛(ぶんえい)湖は04年にすっかり干上がった。周囲の堤防の長さ9・3キロの人造湖は、遊覧船が浮かぶ観光地としてにぎわっていたが、水を引いていた川が枯れた。湖底は、トウモロコシ畑や車の運転練習場に変わっている。

 人口が増え、経済成長が続く中国では、水利用が急増し、04年には1949年の建国時に比べ、5・4倍の約5500億立方メートルに達した。地方によっては断水で給水車が出たり、給水制限を行ったりする水不足となっている。干ばつが、それに拍車をかける。

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 中国の干ばつは、日本にとっても深刻だ。

 中国は04年、農産物の輸出国から輸入国に転じ、以降、輸入超過が続いている。人口増に伴う食料需要の伸びが原因だが、干ばつも影響している。農林中金総合研究所の阮蔚(ルアンウェイ)主任研究員(農業経済)は「今後、干ばつによる水不足でさらに農産物の輸入が増える可能性が高い」と指摘する。日本に安定供給してきた穀物飼料の生産地に中国が買い付けに入るなど争奪戦がおきつつあるが、これが激化する可能性もある。

 干ばつは砂漠化の進行につながり、黄砂の発生源となる。日本での黄砂の年平均観測日数は90年代の24・4日が、2000年以降は39日に増えた。環境省の報告書(05年)によると、黄土色の砂が車の上に積もったり、干した洗濯物が汚れたりしたほか、半導体工場で不良品の発生率が増えた。

 韓国では、小中高の休校など被害がさらに大きい。今月末、日中韓3か国は、共同での取り組みに向け、初の委員会を開く。黄砂対策は、ようやく緒につこうという段階だ。

貧困国 真っ先に被害


マバンバ湿地のハシビロコウ。水はようやく戻ったが、干ばつがいつまた起こるか誰にもわからない(2007年11月8日)=板山康成撮影

 巨大な鳥が湿原に降り、獲物の肺魚をじっと待ちかまえている。異様なほど頭とくちばしが大きく、ユーモラスな顔つきだが、灰色のコートをまとったような巨体は周囲を威圧する。

 東アフリカ・ウガンダのマバンバ湿地に生息するハシビロコウ。コウノトリの仲間で、体長約1・3メートル、翼長は2メートルもある。アフリカ中央部の湿地帯に生息し、絶滅の恐れのある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約で、輸出には原産国の許可が必要な希少種に指定されている。

 ラムサール条約にも登録されているこの貴重な湿地が、2005年10月から06年2月にかけてウガンダを襲った大干ばつで、危機に直面した。

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 「1日40~50匹とれた魚が、2~3匹しかとれなくなった」。マバンバ村の漁師の一人、セムグさん(36)は、そう振り返った。「あんなにひどい干ばつは初めてだ」。集まった漁師たちも口々に言う。

 湿地は、アフリカ最大のビクトリア湖の北部にあり、広さは山手線内側の約3分の1に相当する。約900人の村人は、ここでとれる肺魚やティラピアに、すべての現金収入を頼る。漁師たちはカヌーに乗り込み、水深1メートルほどの水路を進みながら針を仕掛けていく。

 ところが、干ばつの時には、船着き場から約3キロ・メートル沖まで干上がり、多くの魚が死んだ。10人暮らしのセムグさん一家は、水の残る湿地でわずかな魚を苦労してとった。1匹200シリング(約13円)で売り、イモの一種キャッサバを買って家族で分けて食べた。

 村人たちは06年1月、枯れた湿原に火を放った。例年の焼き畑ではない。草食動物のレイヨウを捕獲して食べるためだ。ハシビロコウの地元ガイド、カササさん(32)は「火は、1週間燃え続けた」と話す。湿原の一部は焼かれ、ハシビロコウの生息域も脅かされることになった。

 ウガンダのスルマ財務相は「気候が狂い始めた。経済的損失は計り知れない」と、読売新聞の取材に答えた。貧困国ではあるが、飢えを経験したことのない農業国で、キャッサバや、トウモロコシの一種メイズが育たず、困窮した。

 ビクトリア湖の水位は1・5メートル下がり、湖に二つあるダムの発電量は大幅に低下。水力発電に頼るウガンダは、1962年の独立以来、初めて隣国ケニアから電力供給を受けた。計画停電の影響で、首都カンパラのスーパーマーケットでは冷凍・冷蔵食品が腐る被害も出た。

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 気候変動の影響を真っ先に受けるのは、アジアやアフリカの貧困国だ。日本政府は、洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を前にした5月、横浜市で、第4回アフリカ開発会議を開き、気候変動対策を柱とした支援を打ち出す検討に入った。

 気候変動対策のすそ野は広い。日本の資金援助を受けてアフリカで開発されたネリカ米もその一つ。乾燥に強く、収量も多い米で、ウガンダではトウモロコシより高く売れることもあり、全土に広がりつつある。

 普及に取り組む国際協力機構(JICA)の洲崎毅浩・ウガンダ事務所長は「幅広い人々の生活を向上させるような、地に足のついた地道な支援が必要だ」と力を込めた。

(2008年1月23日  読売新聞)

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2008年6月 7日 (土)

(2)牛丼1杯 風呂10杯分

輸入飼料を食べる牛。牛肉1キロに20トンの水が使われるという(19日、埼玉県小鹿野町の坂本牧場で)=小西太郎撮影

 マグロの刺し身とアジのたたき、里芋の煮物、ご飯とみそ汁……。東京都目黒区の小学校教諭、名本裕(ゆたか)さん(44)の自宅で、妻の千枝さん(36)と長女の真悠子さん(8)がはしを運んだ。真悠子さんは「おいしいね」と料理を平らげた。

 日本のどこにでもある食卓の風景。だが、テーブルに並ぶ料理の食材には、多くの水が使われている。コメや野菜を栽培したり、牛の餌になる穀物を作ったりするのにも水は欠かせない。食料生産に使った水は「バーチャル・ウオーター(仮想水)」と呼ばれる。

 読売新聞は、東京大学の沖大幹(たいかん)教授(水文学(すいもんがく))の研究グループとの共同調査で、日本、米国、中国、ケニアの家庭で、ある一日の食事に投入されている仮想水量を調べた。

 米ミシガン州デトロイト郊外の会社員、ジェイソン・コプリーさん(36)宅では、鶏肉のソテーとチーズ入りパスタが皿に盛りつけられた。中国山西省大同市の同省鉄道局勤務、趙広さん(39)宅では、豚肉とシメジのいため物が湯気を立てた。ケニアの小学校教諭、ハンフリーズ・アンブラさん(53)の家では、トウモロコシの粉を練ったウガリがかまどの大鍋から各自の皿に盛られると、家族はテーブルについたり床に座ったりして、黙々と食べた。

 1人あたりの仮想水はコプリー家が2489リットル、趙家が1954リットル、名本家が1611リットル、アンブラ家が1351リットルだった。

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 仮想水は料理の原材料を作るのに必要な水量と、食べる重量から計算する。

 仮想水が多い代表的な食材は肉。牛や豚のエサとなる穀物の栽培に大量の水が使われるためだ。沖教授によると、鶏肉1キロに4・5トン、豚肉には6トン、牛肉は20トンの水が使われている。

 米国のコプリー家では、調査した日は鶏肉料理だったが、牛肉なら仮想水量ははね上がる。名本家でも、マグロの刺し身がメーンだったため仮想水量は低かったが、実は、真悠子さんの好物はハンバーグだ。ハンバーグ100グラムの仮想水は、沖教授によると、1859リットル。牛丼の場合は、1887リットル。風呂(180リットル)にするといずれも10杯分に相当する。

 千枝さんは「家族はみんな肉が大好き。米や野菜の方が水を使うと思っていたのでびっくり」と話した。

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 沖研究室の調べでは、日本が1年に輸入する穀物・畜産物の仮想水量は533億トン(2004年)。これは、国内の農業に使われる総水量にほぼ匹敵する。同研究室が日本の食料自給率のデータなどから、人気メニューの仮想水中に占める「輸入仮想水」を計算したところ、ハンバーグは87%、牛丼は68%、オレンジジュースは89%にもなる。

 輸入食品は年々増加しており、2006年度までの過去40年間で3・3倍増の5766万トンに増えた。

 新鮮さが命の野菜や果物はいま、空を飛んで日本にやってくる。正月休みが明け、物流が再稼働した1月初旬、成田空港の貨物ターミナルでは、輸入食料を満載したコンテナが、輸送機から次々に運び出された。

 名本家近くのスーパーにも多くの輸入食品が並ぶ。色とりどりのオレンジやレモン。その産地の米国西部の農業地帯は、深刻化する水不足に揺れている。

揺れる日本の食料庫


ソルトン湖の水が減り、かつての湖底は岸辺に。ティラピアの死骸が重なる(2007年12月12日、米国・カリフォルニア州で)=小西太郎撮影

 収穫を終えたぶどう棚が何列も続き、草地の黄緑とぶどうの葉の茶がしま模様を描く。米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のインペリアル・バレー地区のある農園。数メートル間隔で設置されたスプリンクラーから毎秒計1700リットルの水が噴き出していた。

 米南西部を流れる総延長2333キロのコロラド川。果物、野菜、穀物の農地が広がるインペリアル・バレーは、その最下流の農業地帯の一つで、広さは東京都の面積に匹敵する。日本にも果物や家畜飼料用の牧草などが輸出される。

 「もともと乾燥地帯とはいえ、最近の水不足はひどすぎる」。この一帯に水を供給する水組合のケビン・ケリー担当官は嘆く。年間降水量は、東京の20分の1の70ミリ、夏は40度を超える砂漠。それを緑に変えたのはかんがい農業だ。日本の輸入食料の3分の1を占める世界の食料基地・米国が誇る大規模農業。それが、気候変動による水不足で転換点に立たされている。

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 インペリアル・バレーに隣接するソルトン湖(931平方キロ)で異変を目撃した。水位が下がってむき出しになったかつての湖底に、ティラピアなどの魚やフジツボの死骸(しがい)が累々と散らばる。足を踏み出すたび、ザクッ、ザクッと乾いた音が響き、腐臭が漂う。

 水位は1995年から約1メートル低下し、塩分濃度は太平洋の海水に比べ37%も高まった。州漁業狩猟局のキンバリー・ニコル環境専門官は「湖畔にホテルが立ち並び、船釣りを楽しむ人たちでにぎわったが、いまやすっかり寂れた」と肩を落とした。

 米海洋大気庁西部地域気候センターによると、コロラド川流域の年平均気温は過去30年間に1度上昇。ソルトン湖周辺でも01、02年の2年連続で、年間総雨量が6ミリという記録的な干ばつに見舞われた。過去9年間のうち、7年間は年間総雨量が平年以下だった。

 コロラド川の流量の目安となるユタ・アリゾナ州境のパウエル湖への流入量も激減している。米開拓局によると、2007年までの8年間の年平均流入量は、それ以前の過去30年平均の62%にとどまっている。水源となるロッキー山脈や流域一帯で雪や氷が減少しているためだ。

 過去55年分の西部地域の河川流量を分析したカリフォルニア大スクリプス海洋研究所によると、近年の雪解けのタイミングは1~4週間早まっている。研究グループは「川の流れは春から夏にかけて10~50%減り、渇水傾向は今後一層強まる」と予測している。

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 水不足を背景に、農業と都市の「水争奪戦」は激しさを増す。

 メキシコ国境に近いサンディエゴでは、中南米系移民らの人口増加で水需要が急増。4年前から、インペリアル・バレーの農家が確保していた水を段階的に都市の住民に振り分け始めた。最終的に、現在の農家の確保分の1割に当たる年37万トンが住民に回る。農家側はすでに延べ1万2000ヘクタールの休耕を余儀なくされた。補償金が支払われるが、農家側の不満は根強い。

 708ヘクタールの農場で牧草や小麦を作るアル・ケイリンさん(59)は「農家は節水に努力しているのに、都会の住民は水を使いまくる。水が年々貴重になり、かんがい用水も値上がりするだろう。農地を手放し、廃業に追い込まれる農家が出てくるかもしれない」と憤慨した様子で語った。

(2008年1月22日  読売新聞)

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2008年6月 6日 (金)

(1)1日何杯使いますか… 「1人分」比べると

 人間活動による気候変動の深刻な影響が、私たちの生活を脅かし始めた。地球環境は、いま真剣に対策に取り組まなければ、取り返しがつかない限界点を超えてしまう。まず、世界の水をめぐる状況を報告する。

Ft20080512161023856l2_2  日本・名本さん 28杯

 「1人分でこんなに!」

 東京都目黒区の小学校教諭、名本裕(ゆたか)さん(44)は自宅前に並べられた容量10リットルのバケツ28個を見て思わず声を上げた。

 読売新聞と東京大学が共同で実施した家庭の水使用調査で、3人暮らしの名本家は1人が1日に280・7リットル使っているという結果が出た。名本さんは「風呂水の交換を1日おきにし、節水に気を配ってきたのにショックだ」と話した。

 同時に調査した米国、中国、ケニアの家庭と比べると、名本家はトップ。ケニアの11人家族が1日に使う223リットルを上回る量を1人で使っていた。とはいえ、都水道局による1人当たり1日平均使用量とほぼ等しい量にすぎない。

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米国・コプリーさん 23杯

 米国のコプリー家の水使用量は、1人1日231・9リットル。1回のシャワーで使う122リットルは、ケニアの調査家庭で1人が6日間に使う量よりも多い。夏には芝生の庭でスプリンクラーが回るため水使用は倍増し、名本家をはるかに上回る。

Ft20080512161457488l2 中国・趙さん 5杯

 人口増と経済成長による水使用量の増加で、水不足の中国山西省。洗濯で使った水をトイレに流したり、野菜を洗った水を捨てずに観葉植物にやったり……。同省の鉄道局に勤務する大同市の趙広さん(39)の一家は、高い水道料金を節約するのに必死だ。

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ケニア・アンブラさん 2杯

 アフリカ・ケニア西部のビヒガ県ゴトカビンディ村。母親のミナヨ・アンブラさん(46)は、子供2人とともに山のわき水をくみ、家までの500メートルの道を行き来する。1日5往復、20リットルの容器を頭に乗せて運ぶ。「上り坂がきつくてねえ」と、腰をさすった。

 調査は、4か国の家庭を本紙記者が昨年11~12月に訪れ、水使用実態を調べた。日本と米国の調査家庭の使用量はケニアの10倍以上となり、中国、ケニアではいずれも、世界保健機関(WHO)が飲用や衛生確保に必要とする50リットルを下回った。日本の調査家庭は炊事・飲用(35%)、風呂・シャワー(32%)、洗濯(14%)の順に多く、米国の家庭は風呂・シャワーが62%を占めた。ケニアの家庭の水使用の3分の1は飲み水だった。

 「水の惑星」といわれる地球。だが、表層にある水の総量13・9億立方キロ・メートルの約96・5%は海水だ。人が利用できる河川や湖などの淡水は、総量の約0・0075%に過ぎない。

 「気候変動で、水の偏在が拡大しつつある」。国立環境研究所の江守正多(せいた)・温暖化リスク評価研究室長は指摘する。「気温が上昇し、大気中の水蒸気が増えてまとまった雨が一度に降りやすくなる一方、乾燥地域の河川や湖、土壌からの水の蒸発が増えて干ばつのリスクが高まる」

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2050年までにアフリカ南部などで利用可能な水の量が10~30%減り、ヒマラヤ山脈の氷河の融解で、数億人が水不足に陥ると警鐘を鳴らした。

 日本の国土交通省国土技術政策総合研究所は今世紀末に関東地方の年間降雪量が現在の3~4割に減ると予測。「生活、農業用水の不足も起こりうる」とする。

火山に残る水位線、大河1滴も流れず

 水をめぐる異変はすでに、世界各地で起きている。水道の蛇口から当たり前のように水が出る日本も、気候変動による影響と無縁ではない。

ケニアで


かつては手前の火山の中腹に残る白い線まで水があった。向こうに見えるのはロジピ湖(2007年11月15日、ケニア北部で、本社チャーター機から)=板山康成撮影

 かなたに光る湖面から数キロ手前の火山の岩肌には、白っぽい線がくっきりと残っていた。アフリカ・ケニア北部のロジピ湖の上空で、小型機の英国系ケニア人のパイロット、アンガス・シンプソンさん(63)は、「あそこまで水があったんだ」と指さした。

 父もパイロットで、14歳の時から小型機で飛んでいるシンプソンさんは、ひすい色の水を満々とたたえる湖から火山の頂上が顔を出していたのを覚えている。「上空を飛ぶたびに水が減っていった」と説明しながら湖上を何度も旋回した。

 火山地帯にあるため土地が隆起したのか、気候変動による干ばつの影響か、湖に流れ込む川の水量が減ったのか――。湖が縮んだ理由は、わからない。


 ただ湖の水量減少は、アフリカ各地で起きている。国連環境計画(UNEP)が2005年に発表した「アフリカ湖沼地図」によると、北部のチャドやニジェールなど4か国にまたがるチャド湖の面積は、1960年代に比べ9割も縮小。アフリカ最大のビクトリア湖の水位も、90年代前半に比べて1メートル下がった。報告書は、これら16か所の湖を中心に、現在と過去の水量や周辺環境の変化を衛星写真で比較している。

 湖が縮む原因について、報告書は、人口増加による水利用の増加に加えて、気候変動を挙げている。

中国で


すっかり干上がった西遼河(2007年12月10日、中国・内モンゴル自治区の通遼市で)=野本裕人撮影

 橋の上から眺める河道には、干からびた地面が果てしなく続いていた。水は一滴もない。

 中国・内モンゴル自治区東部の通遼市を横切る西遼河。川幅が約300メートルある中国北部有数の河川として知られる。1999年以来、雨期の一時期を除いて水の流れはほとんどない。

 「20年前は川幅いっぱいに水があったよ。もちろん歩いては渡れなかったね」

 堤防を散歩していた元市職員の男性(64)が話した。

 同市の水資源の約90%は農業用水に使われ、渇水の要因になっている。ただ、西遼河流域の耕地面積は、60年代の140万ヘクタールをピークに、90年には115万ヘクタールまで減り、近年も大きな変化はない。水がなくなった西遼河について、同市水務局の劉風武副局長は「雨が減って、乾燥がひどいのが原因。地球温暖化の影響だ」と断言する。


 同自治区気象局によると、過去50年で同自治区の平均気温は2度上昇し、中国で上昇幅が最大だった。東部地域の年間降水量は平均400~500ミリだが、99年以降はほぼ半減した。

 河川の流量が減ったり、川の流れが途絶える「断流」は中国各地で見られる。黄河、長江など主要6河川でもこの40年に流量が減少。黄河から海に出る水量は1960~70年代は年約410億立方メートルだったが、90年代後半には約120億立方メートルにまで減り、91~99年には毎年、断流が発生した。

 中国で水にまつわる言い伝えがある。「水のあるところで雨は降る」。河川などから水が蒸発、雨になって再び大地を潤す水循環を言い表す。雨が少なくなった乾燥地域で、ますます雨が降らない悪循環が繰り返される。

                                   ◇

 日本では、気候変動の影響で、集中的な大雨と、逆に雨が極端に少ない時期が続く少雨が増えている。「今後、大規模で長期間の渇水被害に直面する可能性が強まっている」(小池俊雄東大教授)という。

 長崎県佐世保市では、昨年8月から少雨続きで、11月にはたった13ミリしか降らなかった。11月から蛇口からの水の出を抑える減圧給水を実施している。今月には、飛行機から液体炭酸をまいて人工的に雨を降らせる実験を行った。同市水源対策室の小川幸男室長は「異常気象でもっとひどい渇水がいつ起きてもおかしくない。水を確保するための多様な選択肢を用意しておきたい」と話す。

 極端な多雨、少雨の発生頻度は1980年代から増加。1時間あたり50ミリ以上の強い雨の発生回数は、100観測地点の比較で、16回(76~86年の平均)から23・2回(97~2006年)まで増えた。豪雨の増加は、洪水被害をもたらすだけではない。国土交通省水資源部は「貯水による有効活用ができない河川の水を増大させ、国内の水利用の約7割を占める農業用水が足りなくなったり、渇水時の対応が困難になったりするリスクが高まる」としている。

11億人 飲み水に貧窮… 技術の支援、日本の使命


沖 大幹(たいかん)教授に聞く(東大・水文学(すいもんがく)

 今回の調査により、先進国・途上国の水をめぐる状況の違いが、改めて示された。水をどれだけ大切にするか、価値観の差も実感できて面白い。

 世界には、利用可能な水資源に比べて人口密度の高い中国の北部・西部やインドのガンジス川沿い、貯水施設や上下水道が不備で紛争に苦しむアフリカなど、深刻な水問題を抱える地域がある。国連推計などによると現在、世界の人口の6分の1にあたる11億人が安全な飲料水を確保できない状態にあり、毎年200万~400万人が下痢、コレラなど水に由来する病気で死亡している。

 気候変動は水循環をがらりと変え、これに拍車をかける。例えば、ヒマラヤやネパールでは、一時的に川の流量が増えている。水源となる氷河が解け出しているためだ。氷河という貯金を使い果たした途端、安定して利用可能な水資源量が激減し、深刻な危機に陥る。

 食料生産には水が不可欠だが、日本は食料の大部分を海外から輸入しており、世界の水危機は日本にいずれ跳ね返ってくる。日本など先進国で節水すればアフリカなどに水が回るわけではないが、将来に備え、水を無駄遣いせず賢く使う必要がある。給排水設備を動かすエネルギーを節約し、温室効果ガス排出を抑制することにもなる。

 日本は、水処理や節水の技術を外国に提供し、危機を回避する対策を積極的に進めていくべきだ。途上国では、浄水・貯水・給排水設備の整備や、再生水の利用、農業の方法改善など、できることがまだたくさんある。日本はじめ先進国の支援は重要だ。

先生一家選び 1週間を分析

 読売新聞と東京大学生産技術研究所の沖大幹教授らの研究グループによる共同調査は、目に見える形で暮らしの中での水の使い方を把握するのが狙いだ。

 調査では日本、米国、ケニア、中国の4か国でそれぞれ、中流の標準的な1家族を選び、毎日どれだけの水を使うか、その具体的な使い道は何か、を比較した。社会経済事情をそろえるため、〈1〉夫か妻が小学校教諭〈2〉夫婦の年齢は30~50代〈3〉子供が1人以上いる――世帯を対象とした。昨年11~12月、本紙記者が流量計を蛇口に取り付けたり、水道メーターの表示を確認したりして、1週間の水使用実態などを詳しく調べた。沖教授らが調査データを分析した。

 水の使用量は、一般的に農業、工業、生活用水に大別される。水使用量統計の代表例とされる食糧農業機関(FAO)の「水統計」には「生活用水」のデータがあるが、これには学校や公園など公共施設で使われる水が含まれる。家庭を中心にした暮らしの中での水の使用について国際比較できるデータはない。

(2008年1月21日  読売新聞)

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