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2010年8月7日 コゲラの会都立水元公園夜間観察会

  • お祭り状態
    暑い夏です。水元公園は夜を迎え風が心地よくなりましたが、林の中は湿度が高かったです。残念ながら昨年に続いてのノコギリクワガタ観察にはいたりませんでしたが、クツワムシの大量発生を確認できました。東京23区内ですよ。

環境浄化植物

  • 2010/5/10
    環境浄化植物「サンパチェンス」を一人でも多くの人に知ってもらうため、ここではサンパチェンスのことをちょっとだけ詳しく紹介していこうと思います。

第二回エコツーリズム

  • Park2odaiba_019
    2010年3月28日に実施された第二回エコツーリズムミステリーツアー(浜離宮庭園とお台場第六台場)のカワウ探求ツアーです。

第一回エコツーリズムin水元公園

  • Img_8958
    水元公園で行われたタカエコ・橋本プロの自然観察会の写真集です。

2009 かつしかっ子探検隊

  • Takasagowoodstock2009_017
    2009/10/10 荒川河川敷自然公園、天高く馬肥ゆる秋、秋空の下、かつしかっ子探検隊(葛飾区環境部環境保全課主催)が開催されました。 講師は、タカエコ(福岡清治郎)とプロ自然案内人の橋本浩基さんです。 当日のプログラム ・植物たちの越冬戦略 - くっき虫を探してみよう -  コセンダングサ・アメリカセンダングサ・オオモナモミ等多数 ・秋の虫観察  コオロギ・バッタ類、カマキリ等 ・秋のギフト  六つの部屋のある箱にグループ毎に色々な自然の贈り物を詰め込みました。

2009年8月8日 コゲラの会都立水元公園夜間観察会

  • ウスバカミキリ
    コゲラの会に講師として招かれたタカエコ。午後三時よりクヌギの木にトラップを仕掛けます。果たして結果は?

スプリングエフェメラル

  • アズマイチゲ
                       

わたしにできること

  • 省エネ家電の導入
    身近な工夫から新エネルギーを使用した大きな提言まで、エコカルタも含めて収録してあります。ぜひ、今から実行してください。

東京23区秋の鳴く虫観察会

  • カネタタキ
    東京23区内でも十数種の鳴く虫を楽しむことができます。 聞きなしは、習うより慣れろで、場数を踏むしかありません。 生息環境、住み分けを知っていればこの半分はわかります。 頭上の樹木にいるマンション族、これはアオマツムシだけです。 腰から頭くらいの中層の住人、これらは、カンタンとカネタタキだけです。残りのほとんどが地面にいるジベタリアンです。 秋の夜長をお楽しみください。

タカエコ映像集

世界の最新AFPBB Newsを写真付で記載

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地球を救え!

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事業者の環境への取り組み

都会のナチュラリスト入門講座ー土手・街のバッタたち

  • スズムシ
    バッタ・コオロギ・カマキリinTokyo23区

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・野鳥編

  • オシドリ
    都会の身近な自然を通して、一人前のナチュラリストに養成します ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・虫たちの越冬戦略編PART1

  • アケビコノハ
    キチョウ 「凍て蝶」と寒々しい名前でよばれているのが「キチョウ」です。成虫越冬です。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・街路樹編

  • ハナミズキ
    都会には、たくさんの街路樹があります。二酸化炭素の削減はもちろん、防火の延焼防止や交通事故を防ぐ誘導木として、また、騒音の緩和にも利用されています。何といっても私たちを楽しませてくれるリラクゼーション効果最高の贈り物です。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座・食い物編

  • アユ
    さあ、春間近です。春になると都会でも食べれる野草が採れます。ちょつと足を伸ばせば更に、おいしく食べましょう。食べれるものは何でも扱います。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコの都会のナチュラリスト養成講座 むしたちの越冬戦略 PART2

  • クロナガオサムシ
    タカエコの都会のナチュラリスト養成講座 むしたちの越冬戦略 PART1には、本来51枚の写真が掲載してありましたが、サーバーとの相性が悪く、全部反映されませんので、こちらに半分移しました。 サムネイルの写真の上をクリックするとそのむしにいけます。 ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

タカエコのナチュラリスト講座ー知ってて欲しい帰化動物たち

  • ワカケホンセンインコ
    多くの移入種が、帰化動物となって生態系に脅威を与えている現状を理解しましょう。 タカエコトッブページへは、左上アドレスをクリック!

都会のナチュラリスト入門講座ー都会のセミ事情

  • 羽化殻
    都会(東京23区)のセミは6種類 何がいるのかな? 2008年近況 5月の低温・多雨を受けて、アブラゼミ・ミンミンゼミが数を減らしています。湿地の好きなニイニイゼミは逆に数を増やしています。 ツクツクボウシも例年より一週間程、早く出ています。 出前講座の受付は、以下まで! takaeco1@w5.dion.ne.jp 2008年度は満杯でお受けできません。来年の予約は承ります。

動物たちの事件簿・生態系編

  • ハリネズミ
    生態系のピラミッド 底辺が狂ったり、最上部がいなくなったりで崩壊の危機。 見て、実証してください。 報告は、以下へ。 takaeco1@mcn.ne.jp

生物たちの事件簿

  • ツマグロヒョウモン
    人為的な行為によって、各地で様々な事件が勃発。

エコカルタ

  • グリーンコンシューマー
    WG 使使 WG

世界一不思議な場所・東京都上野不忍池

  • キンクロハジロの一団
     世界一不思議な場所、それは、東京都台東区上野の不忍池。 人々が、冬に渡来した冬鳥の鴨やユリカモメに餌付けをして、すっかり彼らは、警戒心を無くし、人間に媚びることで生活しています。 関連ページ http://takaeco1.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_76bc.html

屋上緑化 -『ストップ! ヒートアイランド」

  • ガイアの夜明けより
    この100年で東京の平均気温は3.0℃上昇した。

サンゴ白化現象

  • ブダイとサンゴの関係
    サンゴ白化現象(はっかげんしょう)とは

首都圏近郊桜の名所

  • 千鳥ヶ淵
    東京近郊の桜の名所 サムネイルをクリックして下さい ホームページトップに戻る時は、左上部のhttp://takaeco1.cocolog-nifty.com/をクリックして下さい!

環境先進国

  • Pasta
    欧州を中心とする環境先進国のお話

ごみ問題

  • 携帯電話のリサイクル
    富士山がなぜ「世界遺産」の指定をうけられないのか? それは、「ごみ」が原因なのです。

ごみ問題

柴又小学校総合学習の時間

2007年 かつしかっ子探検隊

  • ムラサキツバメ
    葛飾区環境部の企画で区内の小学校のエコクラブをサポートするのが「かつしかっ子探検隊」。色々な企画でその道の専門家を招いて、隊員をサポートします。

街並みウォッチング

  • 街並みウォッチング終了
    知らない町を五感を使ってそぞろ歩き。

  • 森の木と牡蠣の養殖の関係
    地球上に存在する水の量約14億キロ立米のうち、海水が96.5%、淡水は2.5%で、陸地表面にある水(表面水)は10万キロ立米で、全水量の10,000分の1以下。

2007年 中央区環境講座

  • 2008年7月3日の講座1
    2007年8月18日の講座風景

葛飾区・自然環境レポーター・50の生物指標

  • ヒヨドリ
    2008年 葛飾区自然・環境レポーター研修 講師 タカエコ 環境カウンセラー 福岡清治郎 2008年9月1日 19:00 葛飾区ウィメンズパル二階視聴覚教室 ・50の指標生物 ・動物たちの事件簿 ・わたしのできること 2時間 http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/141/014163.html

地球崩壊 - 人類への警鐘 -

  • UCLA サットン教授の講義
    2008年2月6日よりタカエコの小説が始まりました。不定期更新ですが、ご購読お待ちしています。

Google Earthの学習利用・講座利用の考察

  • フードマイレージ
    Google Earthの小中学校の総合的な学習の時間、多岐にわたる授業への活用、市民講座・環境講座への利用など、活用方法を考察していきます。新しい展開と手法なので、概略を紹介しますが、データが蓄積され次第、詳しい記述を書き足していきます。

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環境元年 ~エコ・ウオーズ~_

2008年5月 3日 (土)

私なりのエコライフ

 「環境」が世界を動かすキーワードとなった時代。市民もエコロジーを意識した生き方を迫られている。私たちはどうしたらいいのか。身近な生活から「エコ・ウオーズ」に参戦した先駆者たちの哲学と実践ぶりに、ヒントを求めた。

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「新築や引っ越しなど、大きなお金を使う時は、環境を考えるチャンス」と話す池内了さん=神奈川県葉山町の総合研究大学院大学で

◆技術吟味型 生産法・寿命まで見極め 池内了さん(宇宙物理学者)

 宇宙物理学者で総合研究大学院大学教授の池内了(さとる)さん(63)は約10年前、老朽化した京都市の自宅を建て替えた。太陽光発電や太陽熱温水器などの環境技術を満載し、雨水や井戸水も使う「エコハウス」の先駆けだった。

 だがその生活は、とことん技術を追いかけるのとはひと味違う。むしろ技術や行動が「本当にエコかどうか」を厳しく見極める、「エコリテラシー」の姿勢だ。

 太陽光発電では、太陽光パネルの製作に投入したエネルギーと、それが壊れるまでに生み出すエネルギーの差を計算。「10年使えば必ずプラスになり、火力発電よりクリーン」と確信して導入を決めた。テレビが故障した時は、液晶方式ではなくブラウン管に買い替えた。技術が確立され、長持ちの実績があると判断した。

 「エコ」をうたう商品が次々と売り出されていることにも、疑問を持つ。「それが浪費につながっては意味がない。商品に生産エネルギーを表示する制度を設けてはどうか」と提案する。

 エコリテラシーの目を持ち、エコハウスで暮らせば、気づくことは多かった。太陽光の発電量や使用量を示すメーターに自然と目がいく。電話、電子レンジ、温水洗浄便座。待機電力だけで電気使用量を押し上げるものがあふれていた。浪費が気になり始め、水道、ガスと節約の範囲は広がった。専用機械で生ゴミを処理すると、ゴミも減らすしかなくなった。「電力は電力会社、ゴミ処理や水道は自治体。何でも『お任せ』だから、見えにくくなっていた」

 技術だけでは補えないこともある。自宅の天井は吹き抜けにし、化学物質を使わない断熱建材を採用したが、京都の暑さ寒さは厳しい。夏は汗をかき、冬は着込むのを基本にした。「環境のために大事なのは、できるだけ人間のエネルギーを使い、自分で責任を負うこと。自立することです」

 次は食生活も自前にしようと、野菜作りに挑戦している。

A2

「都会でできるエコ生活」を実験中というマエキタミヤコさん。自宅の屋上を緑化している=東京都世田谷区で

 ◆情報発信型 ブーム作り社会動かす マエキタミヤコさん(コピーライター)

 夏至と冬至に2時間ずつ消灯する「100万人のキャンドルナイト」、食料を輸送する際に排出される二酸化炭素(CO2)量を考えようという「フードマイレージ」。注目を集める環境キャンペーンの陰には、コピーライターのマエキタミヤコさん(44)がいる。

 コンピューターからスナック菓子まで、様々な商品の広告を手がけてきた。だが、ちょっとデザインを変えただけの車やレコーダーを、大げさに「新商品」として宣伝することが増えた。「それがどうしたっていう物ばかり。それより、環境とかエネルギーとか憲法9条とかがどうなるかの方が、みんな気になっているんじゃない?」

 行き詰まりを感じていた十数年前、日本自然保護協会の宣伝を頼まれた。評判が伝わり次々と環境NGOから依頼が来た。数々の異変、自然破壊。「えっ、そんなこと知らない!」という連続だった。

 被害を受けるのは決まって過疎地で、情報も文句を言う人も少ないところだ。「環境問題は、民主主義が機能しにくい場所にシワ寄せがいく」。実態を知るNGOや市民の発信力を高める必要性を感じた。

 02年、NGO広告を手がける制作者集団「サステナ」を立ち上げた。諫早湾干拓の弊害を知らせる教育ビデオは映画監督が編集し、人気ミュージシャンが曲をつけた。米軍普天間基地の移設問題では、東京のファッションビルでジュゴンのTシャツ展を開き、自然保護の資金を集めた。「環境は問題がシビアなので、説明まで難しくなっていた。チャーミングに伝えるのがポイント」

 環境キャンペーンは、例えば「クールビズ」のように、「これをやりなさい」とお上(かみ)から呼びかけるものになりがちだ。「情報を受け取るだけでなく、思いを発信し、話し合うべきだ」と説く。ブームを起こして、逆に政府や大企業を動かせばいい。「大きな仕組みに口を出す。これもエコな生き方です」

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「各国のCO2削減はサッカーのW杯以上の競争になっている。生活さえ転換すれば、日本はトップになれる」と話す高城剛さん=東京都渋谷区で◆リセット型 様子見はダメ、挑戦して 高城剛さん(映像作家)

 デジタル技術を駆使した音楽映像やインターネット上の仮想都市の制作で知られる映像作家の高城剛(つよし)さん(43)は、ファッション誌で成果を連載したことがあるほどの「買い物魔」だった。それがこの1年半で、自宅と倉庫にあふれる荷物を徹底処分した。10万冊の本と雑誌、流行の洋服、デジタルグッズ……。削減率は90%、段ボール千箱分に及ぶ。

 きっかけは、01年9月11日の米同時多発テロ。ネットのバーチャルな世界にひたっていたのが、現実世界に目を向けるようになる。パリ滞在中の03年には、熱波で人がバタバタ倒れる様を目の当たりにした。異常気象で食糧難もありうる時代。「ITのトンネルを抜けると、雪が降らないヤバイ世界になっていた。流行商売やってるのに、環境に関心を持たない自分じゃカッコ悪いでしょ」

 問題は大量消費と便利すぎる社会と見定めた。「自宅の徒歩圏内に同じ系列のコンビニが8軒。こんなにいらない」。毎日車で乗りつけていたのを週1回にし、必要なものしか買わないようにした。愛車ポルシェは駐車場に置き、移動は地下鉄とハイブリッド車中心に。生活をリセットしてみた。

 その先、スローライフや質素な生活を目指す人もいる。しかし「あれは優等生向き」だと高城さん。「僕みたいな(大量消費)中毒患者でも、リハビリできる新しいスタイルが必要だ」。実験中なのは、北海道や沖縄などにも生活の拠点を作り、東京と往復する生活。都会で夜遊びを楽しみ、田舎で自然を満喫する。「日本は交通やITのインフラは隅々まで整っているし、地方の家賃は安い。この利点は生かさなきゃ」。異常気象に対応するためにも、1カ所に定住しない生き方が「現代的だ」という。

 子育て世代、高齢者、独身。人によって状況は違う。「トライ&エラーを繰り返し、自分に最適なやり方を探すべきだ。何が正しいかはわからない。でも、様子見の態度だけは通用しない」

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 ◆アメリカでは シリコンバレー、やさしく変身中 自転車通勤で食券支給・CO2排出ゼロオフィス

 IT産業の一大拠点・米国カリフォルニア州のシリコンバレーが、環境にやさしいライフスタイルの発信地として生まれ変わろうとしている。ここで働き、暮らす人たちを動かしているのも、「できることからやってみよう」という発想だった。

 06年に具体化した地域の「クリーン・アンド・グリーン」構想を仕掛けたのは、ヒューレット・パッカード、グーグルといった地元企業やスタンフォード大学などの連合体だ。自治体やNGOと協力し、いろんな角度で環境問題と向き合う。

 たとえば、約2100人が働くIT関連の「ジュニパー・ネットワークス」本社は、自家用車に頼らない通勤への徹底した応援で知られる。

 自宅からほぼ毎日、20分かけて自転車で通うジョン・キーンさん(45)は、出社するとまず1階で「自転車通勤者カード」にスタンプを押してもらう。10ある枠が埋まると、社内のカフェで使える食券20ドル分がもらえる。「健康にもいい。車通勤する理由がないよ」

 自転車置き場は社内のあちこちにあり、シャワー室も完備。担当部長によると、社員アンケートで「病気などで急に帰宅する際は車でないと不便」と思っている人が多いとわかり、緊急時はタクシー券を支給することにした。

 自転車では遠すぎるという人には、何人かの社員で通勤の車をシェアする調整もする。電車通勤者には、電車の遅れなどをメールで流す。

 社内で日常的にこうしたやりとりがあることで「『地球に健康でいてもらう』ため、それぞれが無理のない範囲で何かしよう、と感じることができる」と、キーンさんは話す。

 日系3世の建築デザイナー、デビッド・カネダさん(49)は07年夏、太陽光発電を用い、化石燃料に頼らない「CO2排出ゼロ」の2階建てオフィスを完成させた。大きな窓から採光し、断熱材を入れて、温水を巡らせる。人が離れるとパソコン、コピー機の電源は自動的に消える。

 14人が働く小さな事務所。ここで減らせるCO2の量など知れている。でも「『やればできる』と知ってもらい、みんなのライフスタイルが変わるきっかけになれば」とカネダさん。「建物を見せて」と訪ねてくる人たちは大歓迎だ。

 NGO「持続可能なシリコンバレー」事務局長のリック・ロウさんは言う。「この街は、常に新鮮なアイデアを生み育ててきた。環境と共存する新しい暮らし方も広がっていくでしょう」

Asashi.com

タカエコ小 タカエコ Q タカエコ

2008年5月 2日 (金)

新エネルギー覇権争い

 気候変動を抑えるためには、石油などの化石燃料に頼らず、地球がその営みの中で持続的に生み出すことができる自然エネルギーへの移行を急がねばならない。代替エネルギーを作りだす「ポスト中東」の座はどこか。世界は「新エネルギー・ウオーズ」に走り出している。

Tky200802060270

増える世界の代替エネルギー

 ●燃料作物か食糧か、論争 アフリカ、めざすはバイオ大陸

 アフリカ・モザンビークの首都マプトから北東へ420キロ。青空の下、深緑の列が地平線まで続いていた。 インハスーネ村に新しくできたジャトロファと呼ばれる木の農場だ。ピンポン球ほどの実が黄色く熟すと収穫期で、種を搾って採れる油からバイオ燃料のバイオディーゼルができる

Tky200802060268  

オランダと英国から視察に来たバイヤーを、ジャトロファ畑に案内するESVバイオアフリカ社長のレニエ・ファンロイエンさん(中央)=モザンビーク・インハスーネ村で

 英国資本を基盤にした「ESVバイオアフリカ」社が、放置されていた農地にジャトロファの苗を植えたのは06年末。綿花プランテーションが十数年前に廃れた後、多くの若者たちが村を出て行ったが、ジャトロファ農場ができて人口は1600人から倍増した。

 同社は近く搾油工場建設に取りかかり、09年には油を出荷する。バイヤーが有力市場とみるのは「10年に運輸燃料の5・75%をバイオ燃料にする」と宣言した欧州連合(EU)諸国だ。

 バイオ燃料作物のブームが今、アフリカ大陸を覆う。モザンビークでは現在の農地を上回る計500万ヘクタールの計画がある。ザンビア、アンゴラ、タンザニアなどで、外貨獲得や貧困解消を掲げたプロジェクトが進む。

 南アフリカ中部の町ボアタビルにある「エタノールアフリカ」社は、農家などの出資で04年に設立された。現地産トウモロコシを原料にバイオ燃料を作る計画で、06年に建設を始めた工場は大陸初の商業的エタノール工場になるはずだった。

 ところが――。

 07年12月6日、南ア政府は「トウモロコシを原料とするエタノール生産は禁止」と発表した。政府がまとめたバイオ燃料戦略草案に対し、食用作物のトウモロコシが原料に想定されていることに不安が上がり、閣僚からも価格高騰の懸念が出たためだ。

 トウモロコシ粉を水で煮たものが南部アフリカの主食。貧困層の食卓には欠かせない。鉱物エネルギー省中央エネルギー基金の担当者は「今後検討の余地はあるが、論争になりそうな作物は外した」と説明する。

 同社に出資した農家のロバート・ケイウッドさん(37)は「余ったトウモロコシだけをバイオ燃料に回すつもりだったのに」と困惑。ボアタビルの工場は建設が中断されたままだ。

 バイオ燃料の生産には農作物や農地を使うため、食糧が不足するアフリカでは「食糧」対「燃料」の論争が起きる。

 非食用のジャトロファが推奨されているモザンビークでも、政府は食糧生産維持のため、食用の農地をバイオ燃料作物に転換することを原則禁止した。しかし、全国小規模農家組合のアントニオ・ポベラさんは「貧しい農家は、自分が食べるものより現金作物に飛びつきがちだ」と心配する。

 一方、バイオ燃料作物ブームは道路や貯蔵・灌漑(かんがい)施設などへの投資を促進し、食糧増産の鍵にもなると、両立を期待する業界関係者もいる。

 アフリカで食糧安全保障の活動に携わるNGO「RHVP」のジョン・ルークさんは言う。「バイオ燃料は、アフリカ諸国にとって『祝福』にも『呪い』にもなりうる」

 ●滞る技術開発、実現に壁 アイスランド、水素立国なるか

 雪に覆われた溶岩台地を貫く道の先に、白煙が立ち上るのが見えた。アイスランドの首都レイキャビクから車を走らせること45分。地熱発電所がくみ上げた温水の余りを利用した巨大露天風呂、ブルーラグーンだ。

 北極圏に接する人口約30万人の島国は、「火山と氷河の国」と呼ばれ、豊富な地熱と水力で電力の99%をまかなう。自動車に使うガソリンなどを含めたエネルギー全体でも、自然エネルギーが7割以上を占める。

Tky200802060269  

サッカー場ほどの大きさの露天風呂「ブルーラグーン」。後方で地熱発電所が白煙を上げる=アイスランド・レイキャビク郊外で

 この世界最先端の「低炭素社会」が、さらなる未来をめざしている。

 自然が生み出す電力を使い、水を電気分解して水素を生産する。水素を空中の酸素と反応させ電気を発生させる燃料電池を導入し、国内のすべての自動車を燃料電池車に転換。2050年には化石燃料に一切頼らない「水素社会」をめざす。水素を簡単に輸送する技術ができれば、エネルギー輸出国にもなれる。

 政府も出資するエネルギー会社のほか旧ダイムラークライスラーやシェルなどが合同で、99年にアイスランド新エネルギー(INE)社を設立。03年にはレイキャビクにあるシェルのガソリンスタンドに併設して、水素ステーションをつくった。同じ年に水素バスも導入した。

 世界から視察が相次ぐ「壮大な実験」。だが現実は、足踏み状態だ。

 燃料電池車の技術開発は日本やドイツのメーカー頼りだが、その歩みは思ったほど速くない。結果、値段が高くて普及が進まない。07年から水素バスの運行も休止。効率のよい水素の貯蔵や輸送方法の開発も滞る。

 INE社のスクラーソン社長(40)は「水素社会の実現のためには、技術とコスト面でのブレークスルーが必要だ」と話す。

 一方で、クリーンで安価な電力を求める海外からの投資は急増している。電力を大量に使うアルミ工場が米国などから進出。やはり電力消費が大きいIT企業のサーバー設置など、進出希望は後を絶たない。水素社会実現の手前で、「エネルギー立国」の道は開けつつある。

 水素経済社会を提唱したアイスランド大学のアーナソン教授(72)は、こう予言する。「石油生産は近くピークに達し、化石燃料に依存した経済構造は転換せざるを得なくなる。ここが先駆けとなり、今世紀中には世界が水素経済に移行するだろう」

 同国では08年中には新たな水素バスを走らせ、2カ所目のステーションを新設する。水素エネルギーを活用した旅客船も就航させる予定だ。

 小国の挑戦は続く。

 ◆日本、原発依存のまま 米・独・ブラジルがリード

 バイオエタノール燃料では、米国とブラジルが「2強」だ。06年の世界生産量のうち、トウモロコシからつくる米国が39%、サトウキビからのブラジルが35%。ブラジルは広大な畑を武器に「21世紀の中東」を狙う。

 自然エネルギー全体ではEU、とりわけドイツが世界を牽引(けんいん)する。ドイツの強みは、自然エネルギーで発電した電気を電力会社が高い価格で買い取る制度があること。企業や住民は安心して投資できるのだ。

 技術開発を競い、政策が後押しし、市場獲得をめざす――。各国が新エネルギーの覇権争いを繰り広げる中、日本はどうなのか。

 風力発電は、04年の世界8位から06年は13位と後退。風力発電の適地はまだ多いが、最近は企業が発電所を計画しても、電力会社が不安定さを理由に受け入れを渋る。長い間トップを走ってきた太陽光発電でもドイツに05年に抜かれた。日本は太陽光発電施設への補助を05年度で打ち切るなど、自然エネルギーでは消極的な姿勢が目立つ。

 背景には、日本がこれまで脱化石燃料として原子力に頼ってきたことがある。世界3位の55基の原発を持ち、発電量の三十数%をまかなう規模にまでなっている。

Asashi.com

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2008年5月 1日 (木)

廃家電、アジアむしばむ

 日本で捨てられたテレビや冷蔵庫が、アジアで中古品としてよみがえり、金属資源にもなっている。一方でずさんな処理が現地の環境と健康を破壊しているという。海を渡る廃家電は、国境を越えた「資源」の有効利用か、先進国から途上国への「廃棄物」の押しつけなのか。

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海を越える廃家電

 ■フィリピン・中国 集積地続々 資源再利用、汚染は拡大

 フィリピン・マニラの南港は、さながら中古家電の青空市場だ。

 8畳ほどの店が押し合いへし合いひしめき合う。日本のテレビや冷蔵庫、エアコン、洗濯機が積まれ、並べられ、通路にはみ出している。

 市場の起源はいくつもの説がある。船乗りが始めたともいわれ、この30年で大きく増えた。月に800台をさばく女性店主(59)は「商売敵が次々現れ、値崩れが起きている」と話す。

 マニラ・ラスピナス市の古山征男さん(69)が、日本の中古テレビの輸入販売を始めて15年になる。南港を通して毎月3千~4千台を取りよせ、自宅工場でフィリピン人の技術者が修理・改造し、14インチは1800ペソ(5千円)、21インチは8千円で売る。

 商いの先行きは明るいが、古山さんは複雑でもある。「使えるのに捨てちゃうんだからね」。壊れるまで使う。捨てずに直す。かつては同じ光景が日本にもあった。

    ◇  ◇

 廃家電は中古として利用されるだけではない。

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民家の前庭で、ドリルや金づちを使って廃家電を分解し、基板を集める男性。基板は金属類を採取するため別の場所へと売られていく=ベトナム・フンエン省で

 マニラ南のカビテ州。水はけの悪い地区に車1台分の小さな車庫がある。そこは、廃家電の基板から有用な金属類を取りだす工場でもあった。

 パソコンに使われていた約2センチ四方の中央演算処理装置(CPU)をペンチでつまみ上げ、バーナーの火であぶる。溶けた金属がたらいにポトポト落ちていく。

 鉛のにおいが頭を殴りつける。そばでは酸性液にパソコン部品をつけ込み、張り付いた微量の金をそいでいる。手の皮膚はボロボロだ。従業員の一人は「みんな肺をやられる。でも酒を飲んだら治る」と言った。

 男6人が働くこの工場では100キロのCPUから18グラムの金、320グラムの鉛を取り出す。金は1グラム2770円、鉛は1キロ890~330円で売る。アルミニウムや銀、銅も取れる。薬品を違法に使うため、摘発を恐れて定期的に場所を移す。こうした工場が近郊に550あるという。

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廃パソコンから取りだされたCPUをガスバーナーであぶり、金属類を溶かしている=フィリピン・カビテ州で

 CPUの金属類はさらにマニラ北のブラカン州に運ばれる。掘っ立て小屋のような精製工場で、男2人が金属類を薬品と一緒に高熱ガスで溶かしている。次に酸性液にひたし、まきを燃して熱す。ひしゃくで灯油をかけ、火勢を盛りあげる。

 工場が集まる地域全体で月10キロの精製金を生むとされる。大量に出る廃液を使われていない魚の養殖池に流すところもある。

 純度を高めた金属類は日本、中国、米国、韓国、インド、台湾へ輸出されると聞いた。

    ◇  ◇

 廃家電の集積地としては中国広東省の貴嶼(グイユ)が有名だ。02年に国際NGOが、野焼きや廃液の垂れ流しといった汚染問題の告発ビデオを公表。大気や土壌が重金属で汚され、貧しい農家の子どもたちの被害が疫学調査で浮かび上がった。

 ところが今、アジアのあちこちに「ミニ貴嶼」が生まれている。国内処分に苦労する先進国から流れ込む廃家電が、金属資源の世界的な高騰で富とつながるようになったためだ。フィリピンでは「やめるべきだがやめられない。職を失う人がたくさん出るからだ」と聞いた。各地に健康とお金とを交換する貧しい人々がいる。

 国連環境計画(UNEP)は07年11月に出した報告書で、世界で毎年生み出される2千万~5千万トンのe‐waste(電気電子廃棄物)のうち9割以上がアジア諸国に集中し、重大な健康・環境問題になっていると警告した。

    ◇  ◇

 中国国境地帯にあるベトナム北部モンカイ。川沿いの市場では毎日、大量の中古テレビやパソコンが船積みされ、下流の中国・東興に向かっていく。両国とも中古家電の輸入を禁じてはいるが、はた目には正規の貿易か密輸かは分からない。ここでも日本からの中古品を見た。

 廃家電は、先進国からアジアに集まるだけでなく、アジアの途上国間でも複雑な流通が広がりつつある。成長著しいアジアの人々も使い終えた家電を捨て始めた。いったいどれだけの廃家電が集まっているのか、各国政府や研究者の手で流通の実態調査が始まったばかりだ。

 ■日本 リサイクル体制進まず 「中古」名目、大量に輸出

 廃品回収業を営む金子長武さん(44)は、家庭でいらなくなった家電製品を求めて埼玉・群馬両県を小型トラックで走り回っている。マイクで呼びかけるほか、マンション管理人らからの口コミ情報が頼りだ。月にテレビ20台、洗濯機とエアコンは10台ずつ程度、冷蔵庫は2~3台が集まる。パソコンモニターも20台ほどが手に入る。

 回収品は50~4千円で輸出業者に売る。金子さんは「粗大ごみとして自治体に出しても埋められるだけ。使ってもらえるならば外国に送った方が環境にはいい」と訴える。

 日本ではテレビ、洗濯機、エアコン、冷蔵庫の4品目は、家電リサイクル法にもとづき、消費者が費用を負担し、小売店に引き取ってもらってメーカーがリサイクルするのが原則だ。しかし05年度に不要になった4品目2300万台のうち、この制度に乗って国内でリサイクルされたのは1200万台にとどまっている。

 残り1100万台はどこへ消えたのか。そのかなりの部分が、金子さんのような業者によって回収され、アジアに送り出されたとみられる。

 こうした輸出は違法なものばかりではない。

 鉛が含まれるテレビのブラウン管など有害な廃棄物については、92年に発効したバーゼル条約が国境を越えての移動を規制している。だが輸入国の同意がある場合や、再利用される中古品としてならば、輸出が認められる。各国の規制もまちまちだ。そうした中で金子さんやフィリピンで日本製中古テレビを売る古山征男さんが商いを続けている。

 今後、海外への廃家電の流れがさらに大きくなることは避けられそうもない。

 頻繁に買い替えられるパソコンや携帯電話。リサイクル制度がないオーディオ製品。国内で生まれる廃家電は増え続けることが確実だ。また、2011年にはテレビ放送がアナログからデジタルへと変わること、プラズマや液晶など薄型テレビへの買い替えが急速に進んでいることなどから、これから6500万台のテレビが捨てられるとされる。今のリサイクル制度では到底まかないきれなくなる。

 将来の家電リサイクルはどうあるべきか。二つの考え方がせめぎ合っている。

 ひとつは、国境を越えたリサイクル制度をきちんと構築しようという考えだ。日本はサミットなどの場で「国際的な循環型社会の形成」を主張している。国内処理を優先することや環境への影響を無視はしないとしたうえで、廃家電についても「全面禁止ではなく国際資源の適切な越境移動」を目指す。大量の廃家電がアジアに吸い寄せられている現状が追い風になっている。

 これに対し、廃家電の越境に規制を強め、とくに先進国は国内での処理を徹底すべきだと主張する声が環境NGOを中心にある。廃家電が途上国に流れるのはリサイクルの費用が安いからだが、この低コストは、環境対策や公害規制の未整備、低い労働条件のうえに成り立っているからだと訴えている。

Asashi.com

2008年4月30日 (水)

政策動かすNGO

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温暖化対策を訴える学生たち。グリーンジョブ(環境にやさしい技術に伴う雇用)を象徴する緑色のヘルメット姿もある=07年11月、米ワシントンDCの議会議事堂前で

 気候変動対策の分野でNGO(非政府組織)が存在感を増している。地球環境の問題は、国境を超えて共有され、専門性も求められるだけに、NGOの果たす役割は大きい。温暖化を引き起こす側にも被害者にもなりうる市民は、どう挑戦できるのだろう。

●豊富な人材・戦略力、強み

 「エイティー・バイ・フィフティー(2050年までに温室効果ガスの80%削減を)!」

 昨年11月、ワシントンDCの米議会議事堂前の芝生で、全米から集まった約6千人の学生たちが連呼した。有志の議員もともにマイクを握った。

 その翌月、発電所や工場などの温室効果ガスの排出量を制限する「米気候安全保障法案」が上院の委員会で初めて可決された。産業界の抵抗が強く、実現不可能と言われてきたこの立法のエンジンとなったのが、NGOだった。

 議事堂の周辺に事務所を構える環境NGOは少なくない。「ロビイスト」と呼ばれるNGOメンバーが日常的に議員を回るためだ。

 NGO「ピュー気候変動センター」で気候安全保障法案に携わったマニク・ロイさんにとっては昨年8月が正念場だった。議員が不在になるバカンスシーズン。時間に余裕ができる議員スタッフと法案を詰め、同じような立法を検討する他の議員事務所と調整した。

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NGOの連合体「CAN」がCOP期間中、発行する機関紙「ECO」。政府代表も読んでいる=07年12月、インドネシア・バリで

 11月、小委員会で法案が審議されたときには、7議員のうち態度がはっきりしない3人を集中的に回った。可決を確信できたのは採決の2日前。4対3の小差だった。

 ロイさんは大学院で環境政策博士号を取り、議員スタッフとして、また州政府で働いた経験もある。「政治家は市民の代表者にすぎない。NGOがサポートするのは自然なことだ」という。

 上院のある議員政策スタッフは「細かい立法作業では人材豊富なNGOにかなわない。政治家がやるべきことは、正しいデータをもとに正直に話すのはだれか見極めること」と打ち明けた。

 「人材力」だけでなく「戦略性」も米国の環境NGOの柱だ。昨年4月には、最高裁から歴史的な判決を引き出した。

 連邦政府を相手に、13のNGOが12州と共同で起こした訴訟で、最高裁が二酸化炭素などの温室効果ガスを大気汚染物質と認定し、排出規制をしていない連邦政府に政策の見直しを促したのだ。

 弁護団は原告のNGOと州各三つで結成。リーダーを務めたNGO「自然資源防衛評議会(NRDC)」気候政策ディレクターのデビッド・ドニガーさんは「政府のやり方を正し、問題点を明確にできる訴訟は有効な手段だ」と話す。

 NRDCは300人のスタッフのうち100人が弁護士だ。有力なNGOはどこも科学、経済、法律など関係分野の専門家をそろえている。

 訴訟の焦点は、カリフォルニアなどの州が独自に自動車が排出する温室効果ガスを規制しようとしたのに、連邦政府が承認しないことの是非だ。18州が導入を検討中で、承認さえあれば、米国の人口の半分が住む地域で排出削減が実現できる。

 NGOは州を訴えることもあるが、今回はともに原告席に並ぶ戦術に出た。NGOだけでは原告適格がないと判断される可能性があった。

 州にもNGOと協力するのは得策と映った。マサチューセッツ州エネルギー環境局のボールズ長官は「専門性が高いNGOと連携したから勝てた」と振り返る。

 最高裁判決にもかかわらず連邦政府は12月、車の燃費を改善させる法律ができたことなどを挙げて、州独自の規制は認めないと表明した。すぐ批判の声明を出したNGOと州は、すでに次の手を進めている。

 ●日本、まず意識変化から

 92年のブラジル・国連地球サミット、京都議定書が生まれた97年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)と、地球環境をめぐる分野でNGOは存在感を確立してきた。国境や国益を超えたテーマで連携して政策提言できるのが、NGOの強みといえる。

 「気候行動ネットワーク(CAN)インターナショナル」は世界400以上のNGOの連合体。毎年開催されるCOPでは一致した姿勢で臨む。

 12月にインドネシアで開かれたCOP13。参加国にどう働きかけるかをめぐり、CANの欧州、米国、日本、アジア、アフリカなど地域代表からなる中心メンバー約20人は毎朝、戦略を練った。

 政府間の非公式会合が朝方まで続けば、NGOメンバーも現場を離れない。協議に後ろ向きな国には「今日の化石賞」を与え、ユーモアと皮肉でこきおろす。会議の動向は、毎朝発行する「ECO」でウェブを通して世界に伝えられる。温暖化への市民の関心が高まり、各国政府もこうしたNGOの監視や評価を無視できなくなった。

 ただ、力を蓄えてきたゆえの悩みもある。CANをリードする欧米のNGOの間では、成長が著しい途上国にも排出削減に何らかの貢献を求める意見が強まってきた。一方、途上国のNGOには自国の貧困や発展も目をそらせない課題だ。

 インドのNGO「エネルギー資源研究所」のサンジェイ・バシさんは、「先進国の多くが削減目標を果たせそうにない現状で寄与を求められても、途上国はどうして乗れるだろう」と悩む。

 NGO「フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン」で10年以上、気候変動問題にかかわってきた小野寺ゆうりさんは「専門性や当局との人的つながりを活用する洗練された手法で、欧米の環境NGOは影響力を得てきた。それが、途上国を含む、より幅広い市民のかかわりを難しくさせている面もある」と指摘する。

 日本ではNGOという言葉が定着する前から公害や原発問題などで市民が声を上げてきた。現在、気候変動の領域で活動するメンバーの多くも、そうした経験をもつ。しかし日本の政府や社会がNGOの力を十分、生かしているとはいえない。

 NGOで経験を積んで政府で働いたり、政府からNGOへ移ったりといった人の流れは欧米ではよくあるが、日本ではまれ。多数のスタッフを抱える欧米のNGOとは資金力で比較にならない。

 NGO「気候ネットワーク」の浅岡美恵代表は「日本では行政の方向性を変えるのは容易ではない」と痛感する。「政府のやり方を変えるには、まず国民の意識の変化から。NGOは市民にも常に新しい働きかけをしていかなければならない」

 受け止める市民の側も問われる作業だ。

 ■米国内の気候変動対策をめぐる動き■

01年    ブッシュ政権誕生。京都議定書から離脱

02年    環境NGOの活動がさかんなカリフォルニア州が全米で初めて自動車由来の温室効果ガス排出削減の立法

05年    北東部の州が排出総量制限を含む排出量取引協定RGGIに合意

06年 5月 ゴア前副大統領の映画「不都合な真実」一般公開。のちにアカデミー賞受賞

    9月 カリフォルニア州が各産業の排出規制の立法

07年 1月 NGOと一部の大企業が主要排出源の削減義務づけなどを求めるUSCAPを設立

    4月 複数州とNGOが連邦政府を相手取った訴訟で、最高裁が連邦政府に車由来の排出規制を事実上促す初判断

    9月 車由来の排出規制をめぐり自動車メーカーに訴えられたバーモント州が全面勝訴。12月にはカリフォルニア州も勝訴。いずれもNGOが訴訟支援。

   12月 気候安全保障法案が上院委を11対8で通過

       車の燃費基準を改善させる新エネルギー法が成立

2008年02月06日16時55分 Asashi.com

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2008年4月29日 (火)

対応迫られる日本 福田首相も「美しい星」

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 夏の北海道洞爺湖サミットは、地球温暖化問題が主要議題となる。12月にインドネシア・バリで開かれた気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)では、日本のあいまいな態度が手厳しい批判を受けた。年頭の会見で年金改革と並んで環境問題の重視を打ち出した福田首相。バリでの汚名を返上できるか。

 鴨下環境相は4日、「温暖化で沈む島」として有名となった南太平洋の島国ツバルにいた。海面上昇による陸地の浸食の様子を視察したほか、イエレミア首相とも会談。支援をあらためて約束した。

 年頭から「環境外交」で積極姿勢をアピールする福田政権。その地球温暖化対策の土台となっているのは、安倍前政権が打ち出した長期ビジョン「美しい星50」だ。

 ――昨年2月14日、官邸の首相執務室。あるじだった安倍晋三氏は塩崎官房長官から1枚の紙を差し出された。「美しい星」の原型だった。

 「(温暖化を)政権の重要課題と位置づけ、内閣一丸となって取り組みを強化、加速する」。経済界が猛反発する国内排出量取引についても、「早急に戦略的検討を進めなければ、大きな経済的損失を被るおそれがある」と警告していた。

 安倍氏は、年初の訪欧で温暖化が首脳級の政治課題となっているのを肌で感じていた。塩崎氏も、環境政策は省益を超え、官邸主導で進めるべきだと考えた。

 安倍氏の指示で3月、素早い政策決定を促すために官房長官、環境、経済産業、外相でつくる4大臣会合が設置された。

 「美しい星」が発表されたのは、ハイリゲンダム・サミット2週間前の5月24日。温室効果ガスの排出量を「世界全体で2050年までに半減」するという長期目標が盛り込まれた。当時は参院選を控え、年金記録問題や松岡農水相の「政治とカネ」問題で、政権への逆風が強まっていた時期でもあった。

 夏の参議院選挙で自民党は大敗。9月、福田内閣に代わる。

 政権発足直後、ニューヨークで開かれた国連総会。急きょ現地入りした高村外相の演説は、長期目標に触れたものの「美しい星」の言葉はなかった。福田氏が前政権のスローガンを嫌うとみて、事務方が配慮したとされる。その後、もともと環境問題に関心があった首相が所信表明演説で「美しい星」を引用し、命を永らえた。

 ●衝突避け、あいまい提案

 「美しい星」の旗印のもとで進むかに見えた温暖化政策は、インド洋での自衛隊補給活動の問題や防衛利権疑惑などの陰で、漂流してゆく。

 国内では、企業活動に厳しい枠をはめるような強力な対策に、経済界や経済産業省が反対している。巻き返しは11月末、国内排出量取引制度と環境税を議題に採り上げた環境省と経産省の合同審議会を舞台に起きた。

 議論のあと、どちらの審議会の代表が総括の言葉を発するか。意見が分かれるだけに、引き取り方によって方向性が決まりかねない。持ち回りで環境省側の代表が仕切る番だったが、経産省側が順番の入れ替えを強く要望。結局、双方が総括コメントをする異例の仕方で収めた。出席した東北大学の明日香壽川(じゅせん)教授は「いきさつを事前に聞いた時点で、結論先送りが決まったなと思った」と打ち明ける。

 対立は外交戦略にも影を落とす。

 12月のバリでのCOP13に向け、関係省庁が「ポスト京都」への対処方針をまとめた。

 条約事務局に出した提案は、主要排出国がすべて参加する新たな作業部会の設置を最優先。経済界の抵抗が特に強い国別の二酸化炭素(CO2)総量削減を日本としてどう考えるかは、あいまいにした。「バリでは交渉の行程表が主議題で、ほかは何を書き込んでも話題にならない」(環境省幹部)、「数値を嫌う米中を交渉に引き込むのに、日本が触れるのは得策でない」(外務省幹部)。様々な妥協や思惑から、正面衝突を棚上げした結果だった。この間、首相官邸が省益を乗り越えた提案をするよう動いた形跡はなかった。

 経済界も口を出す。12月初旬、日本経団連の御手洗冨士夫会長はバリに出発する鴨下環境相らと会談し、「京都議定書のような不合理な(国別)総量規制が設定されれば、国際競争力の弱体化は避けられない」とくぎを刺した。

 そして迎えたバリ。態度をあいまいにした日本提案は、予想以上の反発に遭った。「国別の総量削減が特徴の京都議定書を生んだ日本が、議定書を捨て去ろうとしている」。環境NGOは敏感に反応した。

 環境省の幹部として長年温暖化交渉にかかわった浜中裕徳・地球環境戦略研究機関理事長は「日本のイメージ回復は相当難しい」と、現地の空気を感じた。

 ●「バリ・ショック」、数値設定が急務に

 しかし、「バリ・ショック」を受けて12月末、事態は急展開する。

 27日、温暖化対策の国際戦略を練る4大臣会合が開かれた。福田首相は1月下旬、スイス・ダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会に出席し、洞爺湖サミットの基本方針を演説する考えだ。何を打ち出すべきかが議題だった。

 席上、鴨下環境相はバリ会議当時のインドネシアの英字紙を掲げた。福田首相、ブッシュ米大統領、カナダのハーパー首相の大きな顔写真が並ぶ。下に「目標なし。世界の災害はまもなくやってくる――だが世界は屈しない」の文字。日本に対する現地の厳しい雰囲気を伝える、環境NGOの全面広告だった。

 「日本は世界から抵抗勢力だと思われている。このままでいいのか」

 鴨下氏を引き取る形で町村官房長官は「日本の削減目標を掲げてはどうか」と踏み込んだ。傍らにいた高村外相も加勢。数値の設定に消極的な甘利経済産業相は、賛否の立場を明らかにしないまま、部屋を後にした。

 首相官邸は日本の中期目標を打ち出す方向に傾いた。福田首相は前後して、経済界の翻意を迫る役割を期待して前経団連会長の奥田碩・トヨタ自動車相談役を内閣特別顧問に任命。環境相のツバル訪問を指示した。

 一方、民主党も小沢代表がダボスに乗り込み、独自の温暖化対策を世界の要人に披露する準備を始めた。近く脱地球温暖化対策本部を立ち上げ、国内排出量取引制度の創設を進める法案を提出する構えだ。福山哲郎・政調会長代理は「次期総選挙の争点とする好機到来だ」。民主党の攻勢も、政府・与党を刺激している。

 4日、福田首相の年頭会見。首相は温暖化問題を「待ったなしの課題」と訴えた。

 急な「環境シフト」に、ある政府高官は戸惑いを隠さない。「温暖化、温暖化と言い過ぎて実現できない目標を掲げてしまうと、サミットは逆に『政権リスク』になりかねない」

 【日本政府の温暖化政策の推進態勢】

 02年6月、首相を本部長とする地球温暖化対策推進本部が内閣に発足。そのもとに07年、外交問題を話し合う4大臣会合、国内対策を協議する7大臣会合が設けられた。関係省庁とそれぞれの審議会が政策の素案づくりにかかわる

 【日本の主な温暖化政策】

 <「美しい星50」(07年5月公表)>

 世界全体のCO2排出量を現状から50年までに半減する長期戦略を提案。13年以降の国際枠組みに全主要排出国が参加することや、環境と経済の両立など3原則を提唱

 <京都議定書目標達成計画(05年4月閣議決定)>

 温室効果ガス90年度比マイナス6%達成のための国内対策。業種ごとに自ら削減目標を立てる「自主行動計画」に依存しているのが特徴。環境省・経産省の合同審議会が計画を見直し中

 <地球温暖化対策推進法(99年施行)>

 国、自治体、事業所、国民の義務を定め、温室効果ガス排出の多い事業所に排出量の国への報告などを求める。環境省は対象企業拡大や家電製品の排出量表示制度などを盛り込んで改正する方針

 <省エネルギー法(79年施行)>

 車や家電製品の省エネ基準を最も優れた製品以上にする「トップランナー制度」、工場・事業者への省エネ計画提出義務づけなどが特徴。経産省は通常国会に改正案を提出し、規制を広げる考え

2008年02月06日16時48分 Asashi com.

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2008年4月28日 (月)

気候政策、争う欧米

 環境問題、とりわけ気候変動対策が国際政治を動かす重要な要素になりつつある。牽引(けんいん)役はこの分野でのリーダーを自任する欧州だが、米国でも大統領選の課題に浮上。「環境政治」の競り合いの帰趨(きすう)に地球の未来がかかる。

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昨年12月、インドネシア・バリ島であったCOP13に合わせ、「地球環境国際議員連盟(GLOBE)」のメンバーである欧米の議員らも、ポスト京都について意見を交わした

◇EU、「一人勝ち」ねらう

 「非常に重要な前進だ」。インドネシア・バリ島での国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が終わった12月15日、欧州連合(EU)のバローゾ欧州委員長はこう評価してみせた。

 「ポスト京都」への交渉で先進国の目標数値を盛り込もうとしたEU提案は、米国などの反発で実らなかったが、それも想定のうちだった。

 ブリュッセル・ボーリュー地区にあるガラス張りビルが、EUの環境政策の中枢を担う欧州委員会(EC)環境総局だ。EUの「環境エリート」たちは「気候変動問題で世界をリードする」と公言してはばからない。同総局幹部は「ブッシュ氏がホワイトハウスにいる1年は、09年の交渉に備える年。米国抜きでも仕事はたくさんある」と、自信を漂わせる。

 EUは07年3月の首脳会議で、京都後の数値目標に早々と合意した。2020年までに温室効果ガスを90年比20%削減することなどを掲げる。

 加盟国の首脳たちも前のめりだ。昨年11月、ブラウン英首相は英国が2050年までに80%のCO2削減をするべきかどうか、第三者機関に諮ると語った。60%を目標としてきたが、仏独が似た目標を打ち出し、国内では保守党も80%削減を言い出した。政権維持のためにも引き上げる必要が出てきたのだ。

 環境相も務めたメルケル氏が首相のドイツは、12月、20年までに温室効果ガスの40%削減(90年比)という野心的な目標を打ち上げた。COP13の時期に合わせた政策決定に、EUの中でも半歩先を行こうとする首相の思惑がのぞく。

 欧州では、気候変動問題は「環境保護に関心のある人だけが訴える『グリーンイシュー』から政治課題に変化した」(環境総局幹部)。自動車業界団体の幹部は「知識層やNGOが温暖化対策を訴え世論をリードしている。後ろ向きな政治家や企業は攻撃対象になる」と言う。

 欧州議会はこうした世論を反映する。欧州緑の党・欧州自由連盟の副議長、レベッカ・ハルムズ議員(ドイツ)は、欧州議会の特徴を「比例代表制で、選挙は地域のしがらみ無しの党政策で決まるから、超国家的な思考ができる」と語る。緑の党が政治勢力として台頭したのは90年代だが、いまや環境問題への積極姿勢は党を問わない。

 EU内には不満の声もある。産業団体「ビジネス・ヨーロッパ」の環境担当ニック・キャンベル氏は「EUが独走すると国際競争力を失うのは欧州産業界だ」。新規加盟の東・中欧諸国も温室効果ガス削減計画でECの厳しい「査定」に遭っており、ポーランドのトンビンスキーEU代表部大使は「机上の計算を押しつけ、経済発展の権利を制限するのは賢いやり方ではない」と漏らす。

 だが、環境総局気候戦略課のリーフェブレ氏は「我々がこの問題で先行したい理由は三つある。経済競争力の向上、技術革新の促進、エネルギー安全保障の強化だ」と言う。

 EUはすでに27カ国約4億9千万人の巨大市場だ。省エネ・低炭素技術で世界に先んじ、それに合わせた規制を導入すれば、欧州企業の一人勝ちとなる。「これはビジネスチャンスなのだ」(デルベク・同総局気候変動局長)

 ◇米、大統領選の主要課題

 クリントン上院議員「気候変動対策で国際交渉を主導する大統領を選ぶ時が来た」

 オバマ上院議員「気候変動との戦いは米国が主導する」

 過熱する米大統領選・民主党の指名レース。候補者らの演説は欧州への対抗意識とブッシュ政権批判がむき出しだ。クリントン氏は12月に出した声明で「私が大統領になれば、京都議定書に代わる合意に向けて3カ月ごとに国際会議を開く」とまで踏み込んだ。

 地球温暖化対策が重要な政治課題に浮上し、ワシントンでは「政治の気候変動が起きた」とのジョークもささやかれる。背景には、社会の意識変化がある。ハリケーン被害などで温暖化の脅威が広く理解されるようになり、環境重視を意味する「グリーン」が時の言葉となった感がある。

 クリントン氏が「炭素に基づく経済を、効率的でグリーンな経済にしよう」と訴えれば、オバマ氏も「炭素経済に幕を引き、クリーンなビジネスに変える時だ」と説く。発言から透けて見えるのは、経済界への配慮だ。

 ワールドエナジー社の上席副社長で、ゴア前副大統領の政策アドバイザーを務めるリック・アドコック氏は「経済界からの圧力で特に大きいのは、グローバル市場で競争する多国籍企業からのものだ。彼らは京都議定書の枠内で仕事をするうち、米国が気候変動対策で指導力を発揮すべきだと主張するようになり、株主にも支持されている」と指摘する。

 グローバル企業はイメージ向上と利益確保の観点から、新エネルギー開発や排出権市場の創出を求める。ニューヨーク金融界にも「このままでは排出権市場を欧州勢に独占される」との危機感が台頭しているという。

 両候補の環境政策はよく似ている。新たなエネルギー産業育成で「数百万人の雇用を創出」(オバマ氏)、「米国にブルーカラー、ホワイトカラー以外にグリーンカラーをつくる」(クリントン氏)。国内の排出権取引導入や、2050年までに温室効果ガス排出量を90年比で80%削減するとの目標設定は、エドワーズ氏らもほぼ同じだ。

 他方、共和党政権が続いた場合、温暖化政策の見通しは不透明だ。ホワイトハウスの環境評議会議長、ジェームズ・コノートン氏は「京都後の枠組みづくりを成功させるには柔軟な目標を立てる必要がある」と語り、共和党政権下では欧州流の数値目標を採らないとの見通しを示す。

 共和党候補はマケイン上院議員が温室効果ガス削減目標を盛り込んだ法案を推進。ハッカビー氏は排出権取引制度に賛成だが具体策は乏しい。ジュリアーニ前ニューヨーク市長は温室効果ガス削減の義務づけに反対で、原発推進に力点を置く。

 ブルッキングス研究所のジェイソン・ボードフ氏は不気味な予測を口にした。「排出権取引や温室効果ガス削減は、企業や個人の負担につながる。共和党が大統領選や議会選挙でその点を鋭く突けば、どうなるか」

 選挙戦は「次のアメリカ」だけでなく、「ポスト京都」をも左右する。

 ■主な温暖化対策関連日程

08年1月 京都議定書の約束期間(12年まで)スタート

    同 EUが気候変動・エネルギー政策包括案発表

    同 ダボス会議(スイス)

    同 米国主催の主要排出国会議(ハワイ)

   3月 EU環境相理事会

   5月 G8環境相会合(神戸)

   6月 G8エネルギー相(青森)、財務相(大阪)、外相(京都)の各会合

   7月 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)

   9月 国連主催のハイレベル会合?

  11月 米大統領選挙

  12月 ポズナニ会議(COP14)=ポーランド

09年1月 米第44代大統領就任

  11月~12月

      コペンハーゲン会議(COP15)=デンマーク 京都議定書に代わる国際合意(予定)

2008年02月06日Asashi.com

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2008年4月27日 (日)

排出大国の中印共闘 国際社会、取り込み課題

 ぎゅうぎゅう詰めのバスや三輪タクシーの警笛が鳴り響く。インド・ニューデリーの都心部では平均時速十数キロというノロノロ運転が日常化している。

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日米中印のCO2排出量見通し

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 ニューデリー市内の通勤ラッシュ。交通渋滞が激化し、冬はスモッグで視界が悪くなってきた

今秋以降は10万ルピー(約30万円)という超安値の新型車が登場。約185万台(06年度)の年間販売台数は10年後に倍増が予想されるが、「人口規模を考えるとまだ序の口」(インド自動車工業会幹部)という。

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北京市郊外に広がる昔ながらの街並み。後方には超高層マンションがそびえ立つ

 その先を走るのは中国だ。06年に日本を抜き、世界2位になった自動車市場(約720万台)は08年は千万台にも達する勢い。北京の渋滞も拍車がかかり、五輪開催時は車両ナンバーごとに交通規制をするという。

 長期の高度成長が予想される両国。国際エネルギー機関(IEA)は、中国が07年に米国を抜いて世界最大の二酸化炭素排出国になり、30年までに世界で増える排出量の56%を中印が占める可能性も指摘した。先進国が大幅削減をしても、中印が減らさないと温暖化は止まらない。

   ■   ■

 その中印が主役に躍り出て連携を見せたのが、昨年末、インドネシア・バリで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)だった。

 最終日、議長が新たな枠組み策定へのロードマップ最終案を示すと、インドが反対を表明した。

 議長案で途上国にも排出削減の努力を求めた部分に、「技術と資金の援助に基づく削減努力」と書き換えるよう要求。中国代表団も同調した。本会議は一時中断され、最後はインドや中国の要求通り修正された。

 会議後、インド代表のシバル科学技術相は「中国とは絶えず協力した」と語った。

 中印は60年代に国境紛争を戦い、今も仮想敵視を続ける間柄だ。環境分野でも中国からインドに流れるブラマプトラ川などの水利問題を抱える。しかし、昨年6月の首脳会談では、気候変動問題での協力と先進国への大幅削減要求で一致。この問題では「共闘関係」ができつつある。

 共通するのは、「先進国が原因の問題で、なぜ途上国の発展が制約されるのか」(中国国家発展改革委)との認識だ。1人当たり排出量で中国は先進国の3分の1(インドは同11分の1)に過ぎず、中国は「生存のための排出だ」と主張する。

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北京市から北西約100キロにある官庁ダムの湖畔には、風車が林立していた

 温家宝(ウェンチアパオ)首相は昨年11月の東アジアサミットで、「先進国向けの輸出品生産で排出が増えていることも考慮してほしい」とも述べた。

 インドは貧困問題の深刻さも強調する。1日1ドル以下で暮らす貧困層は3億人、電気なしに暮らす人は6億人。セティ環境森林省部長は「電気を与えて近代的な暮らしと教育を提供するのが先決だ」と語る。中国にも貧困層は1億3千万人(04年)もいる。

   ■   ■

 今、国際社会は冷戦期には予測しなかった時代を迎えている。中印という「膨大な貧困層を抱えた巨大な経済パワー」の登場である。それなのに両国を含めた国際社会の枠組みが欠落している。

 世界のエネルギー安保を講じるIEAでも、両国は未加盟だ。中印を含めたより良い世界の枠組みをどうするか。気候変動問題はその試金石だ。

 インドのエネルギー資源研究所の幹部、スリバスタバ氏は語る。「世界は中印ばかり悪者にするが誰もが両国の成長力に期待している。ならば一緒に対策を考えてほしい」

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ジャムシェドプールにあるタタ製鉄の工場。朝、出勤する人の自転車の長い列ができる

     ◇

 中国 政府が号令、旧設備爆破

 外に向けては「発展の権利」を主張し、温暖化の新たな規制を拒否する中国とインド。しかしそれぞれの国内では、環境対策にもがいていた。

 北京の中心から北西約100キロの所にある「官庁ダム」の湖岸に、直径約70メートルの風車が33基並ぶ。昨年11月末に完成した、計5万キロワットの大規模な風力発電所だ。

 8月開幕する北京五輪は「緑色五輪」を掲げ、自然エネルギーの積極的利用を図る。会場では2カ所の風力発電所で消費電力の20%を賄うほか、北京市の五輪用体育館には100キロワットの太陽電池が設置された。

 米ワールドウオッチ研究所は、中国の自然エネルギーが20年には06年の約3倍、4億キロワットに伸びると予測する。今の日本の全発電容量の倍にあたる。

 経済成長路線をひた走ってきた中国は、03年の胡錦濤(フーチンタオ)国家主席就任以降、発展と環境保護の両立を目指す方向に政策を修正しつつある。大気、水汚染など公害対策に力を入れるほか、省エネと自然エネルギー導入を重要施策に掲げる。第11次5カ年計画は、06~10年で、国内総生産(GDP)当たりのエネルギー消費を05年比で20%減らす目標を定めた。

 ところが06年の削減率は1.3%で、目標の4%に届かなかった。危機感を募らせた政府は、省エネと汚染物質削減の達成率の悪い省に新規事業を許可しない方針を打ち出し、昨秋には、達成率で地方政府幹部の業績を査定することにした。

 中国では石炭火力が発電の約7割を占め、古い設備が大気汚染や資源浪費の原因となっている。最新式の発電所に一新するため、各省の号令で各地の発電所の「爆破」が行われた。信賞必罰が功を奏し、07年だけで全国553基、計1438万キロワットの小規模火力発電所が閉鎖されたという。

 しかし、エネルギー効率をいくら改善しても、爆発的な経済成長の中では、二酸化炭素(CO2)の排出は増え続ける。

 発展改革委の気候変動対策部門幹部は「積極的な温暖化対策で、地方に圧力をかけている」と実践を強調。「欧州連合も日本も50年までに排出半減など掲げた目標は美しいが、本当に実現できるのか」と話す。

 中国社会科学院の持続可能発展研究センターの潘家華(パンチアホァ)主任は「先進国の例からみて、工業化が終わり、排出が減少に向かうのは30年代だろう」と予測する。

 それまで中国が大量排出を続けるのを、世界が認めるかどうか。

 ◇インド 牛フン燃料、技術開発も

 インドでは農村の伝統技術に基づく自然エネルギー利用や、市民社会の知恵、企業の力を生かした多彩な環境対策が進んできた。だが今後の膨大なエネルギー需要にどう応えるか、模索が続く。

 杯を伏せたような直径4メートルほどの鉄製タンクの奥からゴボゴボとガスがわく音がする。農村に多い牛フンによるメタンガス製造設備で、発電や家庭用燃料に使う。インドはウシや水牛、ヤギ、羊が4億頭以上いる「家畜大国」。大量の排泄(はいせつ)物は貴重な資源でもある。

 植物を使う方式も含め、「バイオマス」のガスや発電設備は400万近くあり、6億人以上の生活を支える。インド全体のエネルギー供給に占める比率(05年度)は(1)石炭(38%)(2)バイオマス(29%)(3)石油(24%)の順だから、驚きだ。

 政府の奨励策に加え、住民パワーも原動力。NGO「デベロプメント・オールタナティブ」は全国約3万の農民グループと提携。バイオマスや環境技術の普及に努める。

 同NGOは大量にCO2を排出するれんが工場の排出を半減するモデル工場も開発した。銀行に働きかけて融資も組み、126工場の近代化を支援して計40万トン分の排出削減を実現。排出権を生み出すクリーン開発メカニズム(CDM)事業にもなった。

 一方、伸び盛りの企業は自前で様々な対策を講じている。財閥系のタタ製鉄は国内に三つの製鉄所を新設し、粗鋼生産は年500万トンから数年後には3300万トンに大増産になるが、省エネの積極投資や日本の技術協力によるCDM事業も導入。粗鋼1トン当たりのCO2排出量は01年度の2.5トンから05年度は2.3トンに減らした。昨年はCO2削減技術の獲得も狙って欧州の鉄鋼メーカー、コーラスを130億ドルで買収した。

 政府は新エネルギー開発の旗を振り、車や石油ガス業界でつくる「水素エネルギー委員会」まで設けている。利用が考えられるのは、首都や大都市のバス、タクシーに普及している圧縮天然ガス(CNG)に混入する「H―CNG」技術だ。

 業界最大手のインド石油は「水素混入で燃焼効率の向上とCO2排出削減を目指す」と実験中。今秋にも首都に初の「水素スタンド」を設け、実用化に一歩進める構え。

 だがこのまま高度成長が続けば、31年度にエネルギー需要は3倍以上に増える。バイオマスなどでは追いつかず、石炭、石油が大きく伸びる。

 インド人で、ノーベル平和賞を受けた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のパチャウリ議長は言う。「残念ながら、インドも中国も節約を良しとする自分たちの文化とは矛盾した道を選んでいる。先進国と違う発展モデルを見つける必要に迫られている」

2008年02月06日16時45分 Asashi.com

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2008年4月26日 (土)

CO2が経済回す 排出権取引、膨らむ市場

 二酸化炭素(CO2)に値段がつき、株のように取引される。京都議定書の約束期間が始まった08年。欧州で取引初日となった2日の初値は、1トン当たり22.5ユーロ(約3700円)だった。

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排出権取引の仕組み

 高層ビルが立ち並ぶロンドン・カナリーワーフは、シティーに代わる新興の国際金融センターだ。その一角に、排出権ブローカー「カンターCO2e」のディーリングルームはある。

 壁には「08年12月物」から「12年12月物」まで変動するCO2排出権価格が表示されたボードがかかる。ネットや電話で千トン単位で注文が入る。1日数百万トンが売り買いされ、数億ユーロが動く。

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ロンドンの新興金融街にあるカンターCO2eのディーリングルーム。値動きが日に5%を超えることもあるという

 カンターのジェームズ・エマニュエル副社長は「天候、エネルギー価格、そして世界各国の環境政策から目が離せない」と話す。暖かな冬は電力消費が抑えられるため、排出権の値は下がる。欧州連合(EU)がCO2排出規制の強化策を打ち出すと、需要増加を見込んで価格が上がる――といった具合だ。

   ■   ■

 カンターが主に扱っているのは、EUが05年1月に始めた取引制度に基づく排出権だ。

 EU域内の工場や事業所約1万1千を対象に、CO2の排出量の上限を割り当て、その枠を超えた場合は1トン当たり100ユーロ(08年から)の罰金が科せられる。排出枠より多い会社は罰金を避けるため他から排出権を買い、逆に排出を枠以内に抑えられれば、余った分を売ることができる。

 市場原理を温室効果ガスの削減にいかそうという考え方は、97年に採択された京都議定書で盛り込まれた。この考えを自域内に持ち込み、世界に先駆けて市場をつくったのがEUだ。ロンドンなど各地に取引所もある。

 ヘッジファンドや中東のオイルマネー。排出権取引市場には世界中の資金が流れ込み、ディーラーやブローカーが金融工学を駆使して運用する。EU市場での価格は当初の3倍に高騰している。

 米国、豪州、シンガポールなどでも排出権取引市場の導入が進む。全体の市場規模はEUを中心に06年には300億ドルを超え、さらに07年は倍増したとみられる。

 欧州の電力会社は、石油、石炭、天然ガスといった燃料の価格にあわせ稼働する発電所を決めていたが、市場導入を機に排出権価格を指標の一つに加えるようになった。

 石炭は比較的安価だがCO2を多く排出する。天然ガスは高価だが排出量は少ない。発電のため排出されるCO2を排出権購入でまかなった場合いくらかかるかを計算して、どの燃料でどの発電所を稼働させるかを決める。ドイツ電力大手「E・ON」のステファン・ウルライヒ部長は、「稼働期間が長い発電所の建設投資の判断には、排出権価格の動向がさらに重要となる」と話す。

 地球環境に与える負荷がCO2価格に反映され、金融、企業、政策を動かす。それがまた価格にはね返る。経済が環境を軸に回り始めている。

 民間金融機関として初めて排出権取引を手がけた欧州の大手銀行、フォルティスのセブ・ウォルハイン部長は言う。「金本位制ならぬCO2本位制の経済だ」

   ■   ■   

 膨らみ続ける市場で、ジャパン・マネーの行方が注目されている。ある投資銀行が作った資料には、約束期間の5年間で日本の排出権需要が「10億トンになる可能性もある」と書かれていた。

     ◇

 日本政府や日本企業が二酸化炭素(CO2)排出権を世界中で買い集めている。すべては「キョウト」のために。

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トウモロコシの茎の粉末を焼却する火力発電所。日本政府がCO2削減分を購入した=中国山東省で

 中国・山東省禹城市の火力発電所。大型ショベルカーが、積み上げられたトウモロコシの茎の粉末を焼却炉に投げ込んでいく。植物はCO2を吸収して成長するため、石炭だけを燃やすのに比べCO2の排出を減らすことができる。この発電所では、年間20万トンの削減効果があるとされる。

 この削減分の買い主が日本政府だ。独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じ、英国の業者から約100万トン分を購入する契約を結んだ。

 排出権には欧州連合(EU)域内で取引されるもののほか、途上国で温室効果ガスの排出量を減らすCDM(クリーン開発メカニズム)事業に取り組んだ場合、その削減分を自国で使える制度や、先進国同士で同様の事業(共同実施=JI)を進める制度がある。

 日本政府と商社、電力会社、鉄鋼メーカーなどが、中国などアジア各国や南米で買い集めているのが、CDMやJI事業による排出権だ。07年末時点で268件、手に入れる排出権は1億トンを超える。日本は英国に次ぐ大口の「買い手」だ。

 京都議定書で90年比6%削減の義務を負う日本は、うち1.6%分(約1億トン)をCDMなどの排出権購入でまかなう計画だ。NEDOを通じ06年度から購入を進め、08年度予算案では308億円をあてる。他に電力や鉄鋼業界は「自主行動計画」に基づき、1億6千万トン余りを購入する。

 しかし、日本の06年の排出量(速報値)は逆に6.4%増えた。日本の省エネ技術は最高レベルで、これ以上の大幅削減は難しい。12年までの約束期間の終盤に、さらに大量の排出権を購入するしかなくなる――。市場関係者の間で共通するシナリオだ。

 最近、日本の商社が焦りを募らせている。CDMの買い付け競争で欧米に負けることが多くなっているからだ。

 「もし欧州の企業が買わなくても、いずれ日本が買う」と見る欧米の金融機関などが高い価格を提示し、量を確保しているのだという。ある商社の担当者は「別の商社が欧州の業者に売った排出権を、最初の3倍の値段で買わざるを得なくなった」とため息をつく。

 市場では、日本が必要とする排出量は5年間で最大10億トンとも言われ、日本の需要による排出権価格の高騰を見込む。もし価格が2倍になれば5兆円、今の価格でも2兆円以上のカネがCO2のために使われる。国民負担も膨らむことになる。

 「キョウトの先」でも、日本はすでに後れをとりつつある。

 欧州では排出権取引市場が京都議定書の約束期間の後も続く。排出権取引大手、エコ・セキュリティーズのアナリストは「欧州のディーラーは値上がりを期待し、13年以降の排出権も買っている」と説明する。日本は「ポスト京都」の枠組みが決まっていないという理由で、13年以降の排出権を買うところはない。

 ○市場未導入、売る場なし のらぬ財界、世界に後れ

 日本はCO2を外国から「買う」ばかりで、国内で「売る場」がない。

 EUのような国内の排出権取引市場をつくることに、経団連などが反対を貫いているからだ。厳しい排出枠が企業に課されると国際競争力を失い、逆に海外で非効率な生産を拡大してしまうという。経団連の三村明夫副会長(新日本製鉄社長)は「排出権取引はCO2の削減に役立たない」と切り捨てる。

 だが、ドイツ環境省のシャフハウゼン環境エネルギー部長は「日本の産業界はドイツの10年前とまったく同じ議論をしている。欧州では、排出権取引がコストとなる一方でビジネスチャンスも提供するということが、今では理解されている」と言う。

 世界は排出権取引市場の導入に動き始めた。ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランドなどは、EUの市場との提携も模索している。

 京都議定書から離脱し削減目標のない米国も、市場創設にかじを切りつつある。ニューヨーク、カリフォルニアなど全米50州の約半数が排出権取引を導入する計画を持つ。排出権取引大手、ナットソースのジャック・コーゲン社長は「2年以内に連邦レベルでも排出権取引制度ができ、世界最大の市場となるだろう」と見る。ポスト京都も排出権取引は続き、さらに市場は拡大する。これが関係者の共通認識だ。

 国内に排出権取引市場が導入されなければ、EUの市場に価格形成力を奪われたままとなり、CO2価格を軸に動く世界経済の潮流から取り残されかねない。日本は売り買いの経験がないまま足踏みし、決断の先送りを続けている。03年に発足、自主的な排出権取引をしている米シカゴ気候取引所のリチャード・サンダー会長は「経験は重要だ。日本はいずれ参入すると思うが、遅れれば遅れるほど高くつく」と忠告する。

 欧州投資銀行の一線で働く数少ない日本人、フォルティスの白石到さんは言う。「日本はメーカーの技術力、商社の交渉力、豊富な資金力、排出権取引に不可欠な要素をすべて持ち合わせている。力を入れれば世界一になれる分野だ」

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インドネシア・バリ島で12月にあった国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)会場でパフォーマンス。風船を割って、温室効果ガス削減を呼びかけた

◆キーワード

 <京都議定書> 97年に採択。先進国は温室効果ガスの排出量削減が義務づけられ、08~12年の5年間に90年比で日本は6%、米国7%、欧州連合8%などの削減目標が定められた。緩和措置として、国同士で排出枠を取引したり、排出削減事業に取り組むことで自国の削減分に充てたりできる「京都メカニズム」を導入。途上国は義務がない。米国が01年に離脱したが04年にロシアが批准、05年2月に発効した。CO2排出量は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のガイドラインに基づき、発電や工業生産などの経済活動から算出する。

タカエコ Q タカエコ 2008年02月06日16時43分 Asashi.com

2008年4月25日 (金)

怒る天、人に牙 温暖化の脅威、急加速

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モーリタニアのシンゲッティ旧市街地では、ドアが埋まるほど砂が押し寄せている。ファティメットさん(34)の家には高さ約10メートルの砂丘が迫り、のみ込まれる恐怖におびえる

 各地から異変の報告が寄せられている。

 夏、秋と記録的な暑さだった07年。熊本県天草市で10月、沖縄などでしか収穫できないとされてきた島バナナが実った。福島市のリンゴ園では12月になってもかなりの量の「ふじ」が色づかず、ジュース用になった。

 九州ではコメの品質低下に歯止めがかからない。収穫したうち最上級の一等米の比率が、01年の72%から30%まで急落した。佐賀県では07年、主力品種の一等米比率がほぼゼロだった。

 原因は近年の暑さだ。だが、九州沖縄農業研究センターの森田敏さんの研究で、単に暑いだけではないことが分かってきた。この5年、実りに影響する8月中旬~9月上旬の気象に、「日照時間が短くて暑い」という特徴が読み取れた。これまでない時期に台風が来たり、梅雨明けが遅れたりした影響だ。

 「気候が揺らぎ始めている。北陸などコメどころへの影響も大きくなってくるだろう」と森田さん。品質低下はすでに39県で報告されている。

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 07年夏、同じ温帯のイタリアで熱帯病「チクングニヤ熱」が突然流行し、感染症研究者に衝撃を与えた。インドからの帰国者が感染源となり、死者1人を含む約300人が発病した。

 ウイルスを広げたのがヤブ蚊の一種ヒトスジシマカ。日本では東北地方以南に生息し、刺されてかゆいだけの蚊だ。だが、国立感染症研究所の小林睦生・昆虫医科学部長は「病気を媒介する蚊と位置づけを改める必要がある」という。

 蚊は高温なほど世代交代が盛んで、一定の密度を超えると一気にウイルスを広げるとみられる。ヒトスジシマカは90年代後半以降、生息域を北へ広げ、05年には青森県境に近い秋田県八峰町に到達した。環境省が3月に出す温暖化の影響についての中間報告では、日本での新たな脅威としてチクングニヤ熱を加える。

 「温暖化の影響は徐々にくるのではない。ある閾値(いきち)を超えた時、リスクは急に高まる」と小林さんは警告する。

   ■   ■

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アラブ系民兵組織の襲撃が激しかったといわれるダルフール地方北部の村。人影が無く、焼き打ちにあったと思われる住居の土壁だけが無残な姿をさらす

 豪雨、洪水、干ばつ。世界各地を異常気象が襲う。社会基盤が脆弱(ぜいじゃく)な地ほど、人々の生活が大きく脅かされている。

 アフリカ西部・モーリタニア。世界遺産にも登録されている古都シンゲッティでは、旧市街の家々やナツメヤシの林が拡大する砂漠にのみこまれていた。この30年で家や生活手段を失った数千人が街を去ったという。

 古都周辺の砂漠化が始まったのは70年代前半の大干ばつ以降。60年代に100~150ミリ程度あった年間降雨量は、0~50ミリまで減った。「干ばつと人による伐採で砂漠を囲っていた自然の植生が消え、砂漠が動き出した」と同国環境省のサレック専門官は説明する。首都ヌアクショット郊外の観測では、風が強い日は砂丘が1日4メートル前進したこともあったという。

 そして、サハラ砂漠の東端にあたるスーダン。環境の異変は、史上最悪の人道危機の遠因にもなっていた。

     ◇

 紛争の地を覆っていたのは、乾燥だった。

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スーダン・ダルフール地方のエルファシェールで、井戸からくみ上げた水をドラム缶に入れる青年。上下水道が普及していないこの町では、彼らの売る水が貴重な水源となっている

 アフリカ・スーダンのダルフール地方北部。空からは、赤茶けて乾いた大地に黄色を帯びた農地がまばらに見えた。豊作時には背丈ほどあるアワの穂だが、07年の大干ばつのため腰の高さしかない。収穫期というのに、農民の姿もほとんどなかった。

 奇妙な風景が目に飛び込んでくる。いくつも並ぶ円形の盛り土。伝統的なカヤぶきの家々が焼き打ちに遭い、空っぽになった村の跡である。

 ダルフール紛争は、アラブ系遊牧民と黒人農民の対立が政治的に利用される形で、03年に始まった。しかし避難民らの記憶をさかのぼると、その起源はこの地を襲った気候変動にたどりつく。

   ■   ■

 「この10年ほどで、作付けする秋にまともに雨が降ったのは2回だけ。村にやってきた遊牧民が『北にはもうラクダに食べさせる草がない。もう少しいさせてくれ』と頼んできたんだ」。北部出身のアブドゥルさん(46)は振り返る。

 地域の拠点都市エルファシェールの家畜市場で働く30代の男性は約10年前、遊牧民生活を断念して、ラクダを売買する商人になった。やはり牧草が減り、南下したところ「農民に袋だたきにあった」ことが背中を押した。

 この地方の環境問題を研究してきたエルファシェール大のアブドゥルジャバル・アブデラ助教授(58)は「60年代以降、気温上昇と雨の減少が始まった」と話す。

 年150日ほどあった雨期は約50日に短くなった。記録が残る1917年以降をみると、60年代半ばまでは最高気温が37度を超えたことはなかったが、02年は47度に。国連環境計画(UNEP)によると、過去40年間にサハラ砂漠は100キロ南に拡大。人口急増で、木がどんどん切り出されたことも拍車をかけた。

 遊牧民はもともと、牧草と水を求めて乾期に南下し、雨期に北上していた。環境の激変でその移動範囲が狭まり、農民たちと生活圏が重なり始める。ときに水がある場所を奪い合い、農地荒らしや家畜泥棒などの摩擦が増えた。

 87年には北ダルフール州南西部で、銃を持った遊牧民が農村を襲って農民を射殺し、家畜を奪った。農民側は遊牧民の移動を阻止しようと各地で大きな衝突に発展。この一帯の農民だったアブさん(44)は「あのころからアラブ遊牧民はやたらと銃を持つようになり、黒人を奴隷呼ばわりするようになった」と言う。

 90年代に入ると、遊牧民が村外に出た農村女性を襲うなどの事件が続いた。両者の間にあった微妙なバランスは崩れ、互いに憎しみを募らせていった――。

   ■   ■

 今はアブショク避難民キャンプで暮らすアフメドさん(25)の村が襲われたのは、03年の後半だった。

 夜明け近くに川を渡ってきた騎馬集団がカラシニコフ銃を乱射し、干し草に火を付けて回った。爆撃弾が広場で爆発し、小さな鉄片が人々に突き刺さる。丘に逃げて振り返ると、何十もの黒煙の柱が立ち上り、村人の遺体が次々と井戸に投げ込まれていた。

 よみがえってきた悪夢に、アフメドさんは顔をゆがませた。

 ●気候変動、紛争の起源に

 ダルフール紛争が環境にも起因するという側面に、国連が光を当てた。潘基文・国連事務総長は昨年9月の演説で「紛争が始まった原因の一つが干ばつに伴う水の獲得競争だ。水と天然資源の不足は今も問題を悪化させている」と指摘。6月には米紙への寄稿で「同紛争には社会的政治的要因があるが、部分的には気候変動による環境危機として始まった」と説いた。

 UNEPが6月に出したスーダンの「紛争後の環境評価」報告書でも、「環境の問題を解決しなければ、この地方に長期的な平和は来ない」と分析。各地の紛争後の評価をしてきたUNEPの報告書で、紛争原因の一つに気候変動を挙げたのは初めてだったという。

 政治的要素が複雑にからんだ同紛争を気候変動と関連づけることには、国連内外で異論もある。UNEPのスタイナー事務局長も「スーダン政府に『紛争は気候変動のせいだ』という言い訳を与えた、という批判があることは認める」と言う。

 あえて発言をした潘氏の意図について事務総長室の政策担当、ロバート・オア事務次長補は「紛争の背景にある干ばつも、ヒマラヤの氷河融解も、森林の減少も気候変動の表れだという全体像を示し、先進国が気候変動と開発・貧困対策の双方に取り組むよう促したのだ」と語る。紛争解決と予防には、環境変化で壊された人々の生活を先進国の支援で再建することが急務というのだ。

 気候変動による環境変化は社会のバランスを崩し、直接の原因にならなくとも紛争の下地を作り、悪化させ、平和を脅かす要因になる。国際社会はそうした危機感を持つべき時にきている。07年のノーベル平和賞が気候変動への対処を訴えてきたアル・ゴア前米副大統領に与えられたことも、それを物語る。

 11月に出た国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」は、予測される最悪のシナリオを描きつつ「気候変動との戦い」を提唱した。

 そこでは(1)サハラ以南のアフリカで干ばつ被害は2060年までに6千万~9千万ヘクタール増加(2)水不足に苦しむ人は世界中で2080年までに18億人増加(3)気温の3~4度上昇による水没で3億3千万人が住居を失う(4)マラリア感染の危険にさらされる人口が2億2千万~4億人増加――などの恐れを指摘した。

    ◇

 「環境」を巡って繰り広げられているせめぎ合いや争い、「エコ・ウオーズ」を様々な場から報告

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都立水元公園 2010年5月3日

  • ベニシジミ
    気温28℃久々のいい天気です。ツマキチョウを観察しに行きました。

都立水元公園 2009/8/15

  • 20090815_291
    今回は写真のみです。お楽しみください。

都立水元公園 2009/7/14

  • 講師紹介3
    2009年7月20日 立正佼成会葛飾支部壮年部主催の自然観察会をタカエコと大野文恵さん(小説家・野草研究家)と事前調査した一部です。

都立水元公園 2009/4/4 桜

  • 都立水元公園 2009/4/4 桜3
    2009年4月4日の都立水元公園です。

都立水元公園 2008/12/01

  • ムクロジ
    比較的暖かな日で、風も無く観察しやすかったです。

都立水元公園 2008/9/11

  • 蓮田
    曇天で後に降られました、気候としては涼しくてすごしやすかったです。いよいよアオマツムシが昼間鳴きだしました。

都立水元公園 2008/8/12

  • コサギプレート
    2008/8/12の水元NOW

都立水元公園2008/7/16

  • チョウトンボ
    2008/7/16の水元公園です。

☆地球のふところで生命に出逢う

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日野市楽しい環境講座2008第3講座

  • Img_0129
    今年で3回目のお招きです。より充実した内容で現状の地球環境問題をビジュアルで紹介し、エコ仲間を増やせる講座にできたと思います。  2008/7/27 講座概要(スケジュール) http://www41.tok2.com/home/takaeco100/hino.html 当日レジュメ http://www41.tok2.com/home/takaeco100/hino1.html 日野市ホームページ http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/1,html 日野市環境講座 日野市たのしい環境学習講座 http://www.city.hino.lg.jp/index.cfm/1,45622,170,1608,html

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