世界的食糧危機 - タカエコの提言 -
食品の値上げのニュースがひきもきらない。バターが売り場から消えた。価格は一緒でも、袋を開けたら本数が減っていた御菓子。これは日常の現実です。
主な原因は4つ。ひとつはバイオエタノール。原料となるトウモロコシの急騰→家畜の餌が高騰→肉や乳製品が値上げ。あるいは大豆やオレンジなどの農家が、儲かるからとトウモロコシ畑に転作→大豆やオレンジが高騰といったケース。また、BRICsの影響も大きい。典型例はマグロ。中国の中産階級の増加→健康食への注目で寿司や刺身が人気に。さらに原油エネルギー高騰の影響も。海上輸送費のアップ→コストアップで製品の価格もアップ。そして密輸や乱獲問題。カニやウナギはこれ。節度を守ってほしいという世界から日本への意思表示だ。
追い討ちをかけたのがプラィムローンの破綻から始まった投機筋の金の動きが他の投機、特に食や石油にシフトしたことが大打撃の原因である。それに加え、中国・インドの食生活の変化で、食品自給形態が大幅に変化した
ゆうなれば、ハンバーガ文化が一時の日本と同様台風のごとく、食文化を変えている、アメリカナイズという言葉が日本の場合あてはまったが、ここは食の多様化、富裕層の出現、一時の日本の総中流層化が起きつつある。
しかし、値上げ問題は、実は最近に始まった話ではない。ちょっと調べてみると、もう何年も前から「また値上げ」のニュースが躍っていた。それもそのはず、そもそも世界の食糧は、かなり逼迫しているのだ。FAO(国連食糧農業機関)は、穀物在庫率の最低安全水準を17%~18%に置いているが、世界の穀物需給は消費量が生産量を上回り、戦後最低レベルの16.4%になった。これは、世界的な食糧危機といわれた1970年代の水準なのだ。
世界の人口は今、急増している。62億人の地球人口は、70年代からほぼ倍の数字。そして2050年には、今の1.5倍の89億人に達するといわれている。ところが、地球上の穀物の作付け面積は、ここ30年ほとんど変わっていない。取れる穀物量は増えていないのである。人口がさらに増える2030年には、中国だけでも6億人から10億人分の穀物が足りなくなるという予測もある。そしてここに環境問題が追い打ちをかける。砂漠化、温度上昇、豪雨、干ばつ…。エルニーニョ現象、自然災害・目に見えない地球温暖化の現象、値上がりは当然、なのだ。
世界規模の食糧在庫不足が、すぐに解消される見込みは少ないだろう。加えて日本の食糧自給率は世界最低レベルにある。39%という食料自給率、輸入に頼り、尚、食の安全を確保しようとする日本、やらなければいけないことがわかっているにもかかわらず有効な政策を立ち上げない政府、お先は真っ暗である。
暮らしが立ち行かない世帯が、今後急激に増加する。それから、はじめては遅いのだ、今、有効な政策と助成を行わないと日本は餓鬼列島に陥る。普通に暮らせなくなる、間違いなく起こりつつある事を自覚して欲しい。缶詰や長期保存食品を蓄える、そんなむなしい食生活をおくれない、飽食文化の体質が染み付いた日本人に急な食の改善はできない。
明日から、石油の価格が上がるが、それも更なる食品高騰を引き起こす。農政、貿易、海外投資、NGOの育成、食文化の再検討、規制緩和の見直しをすぐに実行しないと、来年以降の日本が見えない。政権交代というレベルではなく、与野党大連立ですぐ行動を起こさないと手遅れとなる。
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