新石垣空港の環境調査、一部を放置 赤土汚染も発生
08年6月の降雨後、新空港建設地のすぐ前の海域は、赤土で長靴の先が見えなくなるほど濁った=カラ・カルスト地域学術調査委員会提供
沖縄県・石垣島で建設が進む新石垣空港をめぐり、予定地の真下で見つかった洞窟(どうくつ)を流れる川の環境調査をするよう、県が調査を委託した専門家から再三求められていたのに実施していないことがわかった。環境影響評価書(アセスメント)に対して環境相から求められた追加調査とも密接にからむ問題だ。貴重なサンゴ礁で知られる「白保の海」がそばに広がり、赤土流出による環境汚染もすでに起きている。
県に調査を求めてきたのは、元日本洞窟学会副会長でNPO法人・沖縄鍾乳洞協会の山内平三郎理事長(61)。そもそも洞窟については県の委託で04年7月~11月に測量などを行い、06、07年にも改めて調べたという。
その結果、洞窟の川は滑走路の下を3本横切って海の方に向かっていることが判明した。海岸の一部に集中して水がわき出していることから一定の水路があると推測されている。ふだん20~30センチの水深は、雨が降ると1メートル以上になるという。洞窟の一つからは、約1万4千年前のものと推定されるイノシシの骨や人骨も見つかった。
県は環境アセスで、赤土を含んだ雨水は空港建設地内につくる浸透池などで濾過(ろか)し、赤土が海や川に流れ出すのを防ぐと説明した。これに対して環境相は05年4月、降雨などが川や海域に浸出する経路や量を追加調査で把握するよう、許可官庁の国土交通省に意見書を送った。
県は補正評価書を国交省に提出したが、新たな調査はせず、既存の降水量や地下水位などのデータに基づいて水の出入りを予測。「空港供用後に地表を流れる水の流動の変化はわずかで、地下水の変化はほとんどない」などと結論づけた。
山内さんによると、この補正評価書は02~03年に行った地下水のボーリング調査のデータに基づいており、その後に見つかった洞窟内の川には一切、触れていない。山内さんは県が環境アセスを提出する前の05年初めから、川の水質や水量などの環境調査を行う必要性を何度も提案したという。
「川の対策を考えない環境保全策は意味をなさない。濁った水は洞窟を通過して一気に海へ流れ、周辺の環境が破壊されるのは間違いない」と話している。
心配した通りの出来事もすでに起きていた。156ミリの降雨があった昨年6月、工事現場から赤土が大量に海に流れ出た。調査した研究者らでつくるカラ・カルスト地域学術調査委員会(代表=船越公威・鹿児島国際大教授)は、濁水が濾過されることなく洞窟の川などの地下水系を通って海に達したとみている。
県新石垣空港課の栄野川(えのかわ)盛信課長は「環境相意見には補正評価書の中で回答した。地下水については水の出入りを全体的に把握し、確認しているつもりだ」と話す。
環境省の山本昌宏・環境影響審査室長は「最終的に判断するのは国交省。指摘されている懸念が現実になった時は、事業者としての県の責任は問われる」と話している。
大阪経済法科大の浦田健作客員教授(カルスト学)は「県の環境アセスは『地形及び地質』の項目で洞窟内に川があることを明記している。それなのに『地下水』の項目で川のことを無視しているのは欠陥だ」と指摘している。

























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