(下)「ポスト石油」へ開発競争
「途上国では『エネルギーが欲しい』という熱い期待を感じます」と語るのは、福岡市に本社を置く建設コンサルタント会社「西日本技術開発」で、地熱部を率いる田籠功一部長(53)。同社は九州電力の子会社だが、世界の地熱発電関係者の間では知らない者はいない存在だ。
日本最大の発電規模を持つ八丁原(はっちょうばる)発電所(大分県九重町)の運営も担当する同社の強みは、資源探査から発電所建設、管理までを、総合的に担える技術力だ。国内の地熱開発が停滞する中、「このままでは技術力が持ち腐れになる」と世界に活路を求め、米国やニュージーランドの企業と、途上国の国家プロジェクト受注競争にしのぎを削る。活躍の場はいまや、アジア、中南米に広がり、最近ではアフリカからの引き合いも増えた。
地熱開発にかける熱意は、先進国も例外ではない。
発電量世界一の座を争うのは、国策で開発を推進する米国とフィリピン。火山や地熱資源に恵まれていない豪州、欧州連合(EU)諸国も熱心だ。豪州のクーパー盆地では、地下約4キロ・メートルまで掘削。高温の岩盤に水を注入し、できた蒸気でタービンを回す次世代発電をめざす。ドイツでも、高価格で電力を買い取る優遇制度が推進力となり、昨年、わずか4年で二つの発電所が完成、世界を驚かせた。
「産油国も、石油の枯渇を見据えて地熱の可能性を真剣に模索している」。こう指摘する九州大学の江原幸雄教授(60)の研究室では、博士課程5人中4人が、アジアや中東からの留学生だ。国立インドネシア大講師のヤヤン・ソフヤンさん(33)もその一人。地熱開発の探査技術を学ぼうと昨年来日した。
インドネシアは経済発展に伴うエネルギー需要の急増で2002年に原油輸入国に転じ、世界有数を誇る自国の地熱資源への関心が高まった。ソフヤンさんは「大統領令で掲げられたのは、発電量を05年から20年間で10倍以上にする国家目標。地球温暖化の観点からも二酸化炭素を出さない地熱発電はさらに注目されるだろう」と語る。
産油国・イランのエネルギー省から留学中のフセイン・ユセフィさん(37)も、ポスト石油時代を見越す。「現在、国内初となる出力5万キロ・ワットの地熱発電所を北西部に建設している。我が国はまだ石油が安く手に入るが、将来の様相は違うはずだ」。世界では、日本とは別次元の資源戦略が進んでいる。(片山圭子)読売新聞
























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