(上)治療施設の全電力発電へ
地球内部の熱水を蒸気に変えてタービンを回す「地熱発電」。火山国でありながら国内での開発はここ10年、停滞気味だったが、最近は風向きが変わってきた。海外では地球温暖化防止策としても熱い視線を浴びる。貴重な純国産エネルギーの現状を追った。
桜島を望む鹿児島県指宿市の高台に立つ「メディポリス指宿」。この地にかつてあったのは、旧年金福祉事業団が約200億円を投じた保養施設「グリーンピア指宿」。赤字経営で2002年に閉鎖後、廃虚同然だったが、鹿児島から成長した医薬品開発企業「新日本科学」(本社・東京)が約6億円で購入、06年に滞在型の健康医療施設として再生させた。
施設の目玉は、特殊な放射線をがん組織に集中させ、高い治療効果を発揮している「粒子線治療センター」だ。各自治体が誘致合戦を繰り広げる期待の新治療施設だが、保険適用外のため、治療費が1人約300万円かかることは構想段階からわかっていた。
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「粒子線には大量の電力が必要。電気代を下げて治療費を安くできないか」。永田良一・同社社長(50)の命を受けた田中清仁(きよじ)・施設企画室長(46)の調査は、その時から始まっていた。
「風力なども検討したが、台風が多く適地はない。ただ、宿泊施設では掘り当てた温泉水を床暖房や岩盤浴にも使い始めていて、燃料代が年間四、五千万円も節約できた。これを社長に報告すると、『地熱発電はいけるじゃないか』とGOサインが出たんです」
敷地の一角には今、地熱発電用の井戸を掘るやぐらが立つ。「粒子線施設の全電力をまかなえそうだ」。田中さんは調査結果に確かな手応えを感じている。
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「日本は世界有数の地熱資源大国。全電力をまかなえるのになぜ活用しないのか」。環境問題で発言が注目される米アースポリシー研究所のレスター・ブラウン氏は今夏、日本での講演でこんな疑問を投げかけた。
国内での地熱発電の新設は00年以降ゼロ。全国に18か所ある地熱発電所が発電できる総量は、電力全体の0・2%でしかない。新設には様々な規制をクリアしなくてはならず、完成まで通常15~25年かかって、開発コストに跳ね返るためだ。
だが、中国やインドなどの旺盛な消費で、石油や天然ガスなどの需給構造は不透明感を増すばかり。こうした中、経済産業省は今年度初めて、低温の熱水(100度程度)を利用する新型の地熱発電導入を促進する支援策を打ち出した。
少しずつだが、潮目は変わりつつある。 (2008年8月26日 読売新聞)
























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