(5+)排出削減 努力続く
男性5人が身につけたジャンパーの背に「省エネパトロール」の文字が躍る。9日午後、長野県茅野市の電子部品工場。燃料費の高騰に苦しむ工場の幹部に対し、隊員は「ボイラーに断熱材が足りない」「待機電力を無駄に使っている」などとアドバイスした。
5人は、2000年に結成された「信州省エネパトロール隊」のメンバー。当時、諏訪市の情報機器会社にエネルギー管理士として勤めていた竹村雅志さん(58)らが中心になり、仕事で蓄えた省エネのコツを他社にも広めようと、ボランティアで始めた。
現在は退社し、「省エネコンサルタント」として独立した竹村さんによると、省エネには「三つの段階」がある。空調温度の変更や待機電力の節約など費用のかからないものが第一段階、断熱材の利用や空調設備の改善などが第二段階。生産工程を大幅に見直すなど、投資の回収に長期間かかるものが第三段階だ。
しかし、第一段階の省エネさえ徹底されていないのが実情だ。パトロールした約150の事業所のうち、部屋の一斉点灯スイッチを個々の照明ごとの「ひもスイッチ」に替え、こまめに消していたのは2割程度。これだけで電気代が半分になる事例もあるという。「何から手を付けていいか分からない中小企業も多い」と竹村さんは指摘する。
2010年度から大規模事業所に二酸化炭素(CO2)の排出削減を義務付ける方針を掲げる東京都。すでに05年には、これらの事業所に対し、10年までにどんな対策に取り組むかの計画書提出を義務付けていたが、当初は基本対策さえ不十分と判断された事業所が半数程度に上った。都の強い指導で基本対策は改善されたものの、これに上乗せして独自対策を打ち出した事業所は少なかった。
計画の中間報告を基に都は先月、優秀な17事業所を公表した。その一つで、マーガリンなどを作る月島食品工業(江戸川区)は照明の節約のほか、ボイラーの燃料を重油から天然ガスに変えたことで、06年度のCO2排出量を02~04年度平均に比べ19%減らした。同社東京工場の宮嵜弘幸次長(50)は「生産工程を見直せば、もっと削減できる」と意気込む。
今回は優秀事業所に入らなかったものの、省エネの「先行事業者」とされるのが、ホテルニューオータニ(千代田区)。調理室から出る排水を微生物などを使って浄化し、生ゴミから肥料を作る。夜間電力で作った氷や冷水を冷房に使い、屋上緑化に二重窓も。これまでに100億円を投じたというが、「エネルギー経費が大幅に減り、投資額の大半は回収可能」とする。
石油ショックを機に始まった日本の省エネ。30年以上経過し、「日本のCO2削減の余地は『乾いたぞうきん』のようにわずかしかない」との意見もある。だが、今も週1回の事業所パトロールを続ける竹村さんは「削減余地はまだまだある。省エネは温暖化防止に加え、企業コストや家計の節約になり、さらに努力が必要」と話している。












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