(3+)太陽光利用 追い風やむ
高齢者向け集合住宅の屋上に、畳よりやや小ぶりな太陽光パネルが20枚並んでいる。東京都江戸川区に昨年9月完成した「市民立・江戸川第2発電所」。出力3キロ・ワットで、平均的な家庭の4分の3の電力を賄える。起こした電気は集合住宅の共用部分で使っている。
設置者は、NPO法人「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」(略称・足温(そくおん)ネット)。「温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を出さない電気を」と1999年に区民の寄付などで1号機を区内の寺に取り付けた。
翌2000年に2号機を計画したが、補助金の支給要件が厳しくなり、資金不足でいったん頓挫。06年に中古パネルを譲り受け、設置にこぎつけたが、足温ネット事務局の山崎求博(もとひろ)さん(39)は「3号機は設置できそうもない」と話す。余った電気は電力会社が通常の電気代と同じ単価で買ってくれるが、その倍以上の発電コスト(設置費用を含む)が必要だからだ。
長い日照時間と高い晴天率を誇る長野県佐久市。金型工場など13か所に計860キロ・ワットの太陽光パネルが設置されている。国のモデル事業で、設置費は約7億円。約5億円を国と市が補助し、残りは設置企業の負担だ。小学生の環境教育にも役立っているが、「補助金があったからできたこと」と担当者は振り返る。
太陽光発電の導入が進んだのは90年代。補助金の効果で日本は一時、世界一の設置容量を誇ったが、05年度で住宅向け補助を打ち切り、現在はドイツが世界一だ。ドイツで普及が進むのは、太陽光などの電気を電力会社が高く買い取ることを法律で義務付けたためで、背景に「脱原発」の流れがある。日本の電力業界には「大幅なCO2削減は原発頼み」(電力会社幹部)という意識も根強い。
市民出資の風車を北海道と秋田県で5基運営するNPO法人「北海道グリーンファンド」。さらに道内3か所で数千キロ・ワット規模の風力発電を計画していたが、昨年3月、北海道電力の抽選に漏れた。風車の電気を売るには電力会社の送電線につなぐ必要があるが、北海道電力や東北電力は風力発電の供給が不安定なことを理由に、接続する風車の数を抽選で制限している。
NPO法人の鈴木亨事務局長(50)は「電力会社間でもっと連携して電力を融通しあえば、風力の供給の不安定さは問題にならないはず」と嘆く。
国は電力会社に太陽光や風力など自然エネルギーの買い取りを義務付けているが、今年度の義務量は総供給電力の0・85%。イギリスやフランスが20年までに15~23%の目標を掲げるのに対し、日本の14年度の目標は約1・6%にとどまる。
自然エネルギーの買い取りについて、東京電力環境部の平野学さんは「だれがコストを負担するのか。電気料金に転嫁したら国民の理解は得られるだろうか」と問題提起する。足温ネットの山崎さんは「自然エネルギーに頼る時代は必ず来る。技術開発を促すためにも国や電力会社が高く買う仕組みが必要」と語る。












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