(4)水道水 限りある資源

水道普及率が97・2%に達し、蛇口から豊富な水が流れ出る日本。だが水に恵まれた国のイメージとは裏腹に、水道事業の赤字に悩む自治体が増えている。
日本海に面した北海道南部の江差町。人口1万人足らずの過疎の町で7日、水道経営について話し合う町議会の会合が開かれた。
「累積赤字は9億2000万円。このままでは料金の値上げも考えなければ」。上下水道課の説明に、町議から質問が相次いだ。
「人件費はまだ減らせるのではないか」「民間への業務委託は十分なのか」
20立方メートル当たりの料金は全国で11番目に高い5531円。値上げは町民に理解されるか。町当局や町議会の協議は続いている。
経営を圧迫しているのは6年前、隣の上ノ国町にできたダムの負担金。3億円の水道料金収入の大半は、その支払いに消える。担当職員は以前の半分の4人、メーター検針や浄水場の業務も民営化したが、人口減で料金収入は減る一方だ。
町の担当者は「渇水に見舞われるたび節水を呼びかけてきたのに、水使用の増加に期待しなくてはならないとは」とため息をつく。
水道水は近年、高くつくようになった。日本水道協会によると、1970年に全国平均で1立方メートル当たり38・78円だった製造コストは2005年、5倍近い188・56円に。この間、企業物価指数は2倍程度しか上がっていないから、その上昇幅は大きい。
20立方メートルの水道料金は、最も安い山梨県富士河口湖町が700円なのに、最高の熊本県上天草市(大矢野地区)では6000円超。水道協会の羽根田卓一調査課長は「ダムへの投資や水質悪化に伴う高度浄水処理の導入などがコストを引き上げている」と分析する。
過疎地の現状は、少子化が進む日本の縮図だ。野村総合研究所の報告書によると、2040年の日本の水道使用量は現在の4分の3から半分に減る見通し。報告をまとめた宇都正哲(うとまさあき)さんは「2040年は高度成長期に建設され、2000年前後に更新された水道施設の再更新の時期。右肩上がりの水需要を前提にした水道事業は危うい」と指摘。コスト削減策の一つとして、地下水利用を提案する。
過剰なくみ上げによる水位低下も回復基調。土壌がフィルターの役目を果たすため、一般に河川水より水質がよく、浄水費を圧縮できるのが、その理由だ。
時間と費用がかかるとして、05年に「真木ダム」の建設が中止された秋田県大仙市では、代替水源として、地下水利用の検討が進む。ダムで確保する計画だった水量は日量1万7340立方メートル。調査の結果、2900立方メートルは地下水、残りは河川敷で取水する伏流水で賄えることがわかった。「水量、水質とも十分。ダムに頼らなくても水道水を確保できるメドが立った」(市上水道課)
水道水をすべて地下水に頼る東京都昭島市では節水活動が盛んだ。蛇口に付ける節水器具を市民に無料配布。市のホームページには「水を流したまま30秒歯を磨くと6リットル、コップにくめば0・6リットル」など、節水効果を示した説明文が並ぶ。水源地帯での植林も始めた。
自然の水は尽きなくても、手間暇かけた水道水は「限りある資源」。身近な水をどう確保・維持していくか。各地でさまざまな取り組みが始まっている。(佐藤淳)























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