自然の防波堤を守れるか〈サンゴからの警告3〉
沖縄・八重山諸島にある竹富島から約10キロ南東の沖合に張り出したサンゴ礁。外洋との境界となる海では、太い枝状のサンゴやテーブルサンゴが荒波にもまれながら、しっかりと根付いていた。
同諸島は昨年9月、最大瞬間風速が60メートルを超える大規模な台風に襲われた。大波で枝を折られたサンゴもあるが、再生ぶりは力強かった。「荒々しい自然をはね返す力はすごい」と地元ダイバーも驚く。
その力が、22万人以上が亡くなった04年12月のインド洋大津波で人命を救った。甚大な被害が出たスリランカ南部のリゾート地ヒッカドゥワには、一人の死者も出なかった地区があった。
観光資源のサンゴがつくる浅瀬や起伏に富む海底が、大波にブレーキをかけ、自然の防波堤の役割を果たしていた。
サンゴの保全を学ぶために来日中のスリランカ漁業水産資源省職員、コディカーラ・アナンダさん(43)もヒッカドゥワの東約50キロの海岸で津波に遭った。小高い丘に逃げて難を逃れたが、2000人以上が死亡。目の前の海にサンゴ礁はなかった。開発でサンゴが採掘され、津波で大被害を受けた町もある。
八重山諸島も18世紀に明和の大津波が起きた。被害を記録した「大波之時各村之形行書」によると、石垣島では島民の半数近くが亡くなった。だが、わずか6キロ西にある竹富島にいた約1100人は全員が助かった。
今村文彦・東北大大学院教授(津波工学)は、その大津波の伝わり方をコンピューターで再現してみた。南東の震源地から竹富島に向かう波が、サンゴ礁の海域に入ると急に腰砕け状態になっていた。「マングローブも含めて、自然の仕組みがそのまま防災に役立つことは多い」と今村教授は話す。
米プリンストン大の最近の研究では、生きたサンゴは死滅したサンゴよりも2倍以上、津波を弱める力があるという。
アナンダさんは言う。「私たち途上国では、いったん自然を壊してしまったら、それをつくり直すお金はない。今あるものを開発から守ることが大切なんです」
(森治文) Asashi.com

















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