在来植物に迫る脅威
キクの仲間なのに姿は樹木――。そんな一風変わった植物の森が、サンタクルス島の高地にある。スカレシアというキク科の固有植物。かつてダーウィンも複数の種類を採取している。
高く伸びたスカレシアを見上げると、木々の間から青空が透けて見えた=ガラパゴス諸島サンタクルス島で、佐藤慈子撮影
森の中は、高地特有のひんやり湿った空気に満ちていた。見上げると、葉と葉が重なり合って、まるで緑色のステンドグラスのようだ。
日本でキク科の植物といえば、草しか思い浮かばない。だが、この島の高地に生える種類は高さ10メートルにもなる。幹の直径は20センチ前後。どう見ても立派な木だ。葉は樹冠に集中し、どこかブロッコリーに似ている。
スカレシアが、これほど立派な森を作れたのは、ガラパゴスが過去に大陸とつながったことがない「海洋島」だからだ。偶然に海を越えた、限られた種類の動植物が生態系をつくった。大陸から競争力の強い樹木が入り込んでおらず、生態系内に“空席”があったため、スカレシアは繁栄することができた。
美しいスカレシアの森はかつて、牧場の開墾などで伐採された。そして今、外来植物の拡大が新たな脅威となっている。
バラのような鋭いトゲを持つブラックベリー、大きな葉をつけるアカキナノキなどの外来種が島内で広がり、スカレシアやミコニアなどの在来種を圧迫している。
アカキナノキは46年にサンタクルス島に持ち込まれた。ダーウィン研究所のアラン・タイ博士(53)は「キナノキ類からは、マラリア治療薬の原料がとれる。しかし、試しに島に植えてみたものの、まともに利用されることもなく放置されてしまった」と話す。
同研究所のレイチェル・アトキンソン博士(32)と、アカキナノキが侵入した山へ登った。
アカキナノキは、光沢のある大きな葉が特徴。高さ2メートル前後の若木が、山の斜面のあちこちに生えていた。人の手で樹皮をはぎ、そこに農薬を塗って駆除を進めている。しかし、駆除が必要な面積のうち、終わったのはまだ数%にすぎない。
「私の計算では、駆除を終えるのに800万ドルかかる。でも、予算のめどは立っていません」
レイチェルさんは、ため息をついた。 Asashi.com















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