進化の実験室 今なお研究の最前線
サンタクルス島の港町プエルトアヨラ。昼下がりの食堂に、スズメのような鳥が舞い込んできた。テーブルの周りのおこぼれが狙いらしい。
ダーウィンフィンチと呼ばれ、くちばしの形や習性などが異なる14種が分布する。たった1種の祖先が、異なるエサや環境に合った体のつくりをもつ多数の種へと進化する「適応放散」の好例とされる。
主に昆虫を食べるムシクイフィンチは細く鋭いくちばし、大きくて堅い植物の実をつぶして食べるオオガラパゴスフィンチは、ペンチのような分厚いくちばしに進化した。ドラキュラのように、ほかの鳥の血を吸う変わり者もいる。
では、フィンチの祖先はどんな鳥で、いつガラパゴスに渡ったのか。
佐藤秋絵・鶴見大准教授(49)は、欧米の研究者と共同で、南米各地に生息する野鳥30種とフィンチをDNA解析の手法で比較した。その結果、ペルーやエクアドルなどにいるクビワスズメの仲間が、共通の祖先を持つことがわかった。
分析によれば、フィンチの祖先がガラパゴスに渡ったのは、今から約240万年前になる。
また、分類上は6種とされている地上性フィンチ類は、DNA分析では目立った差がなく、種の分化が不完全と分かった。これは、新しい種が形成される、いわば進化の途中であることを示しているという。
ダーウィン研究所のアラン・タイ博士(53)は「ガラパゴスは、科学史に名を残した過去の島々ではない。遺伝子レベルの研究手法が進展したことで、研究者にとってますます面白い場所になった」と話す。
ダーウィン研はいま、ガラパゴスに固有な動植物を対象に、遺伝子レベルで起源などに迫るプロジェクトを、複数の研究機関と進めている。野鳥のマネシツグミはスイスや米国とのプロジェクト。植物のスカレシアはデンマーク、ウチワサボテンはベルギーと共同研究――といった具合だ。
再来年はダーウィン生誕200年、「種の起源」出版から150年になる。かつてダーウィンが足跡を残した「進化論の島」は、今も研究の最前線だ。
Asashi.com


















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