減った、漁獲も観光客も〈サンゴからの警告2〉
かぎ状の道具を使ってオニヒトデを捕獲する漁師の高田英義さん=鹿児島県瀬戸内町の加計呂麻島沖で
空気タンクを背負った魚突きの漁師、高田英義さん(64)が、サンゴの裏にへばりついたオニヒトデをかぎ状の道具で巧みに突き刺した。全身を覆うトゲには強い毒がある。触ったら一大事だ。
奄美大島と加計呂麻(かけろま)島の間を流れる鹿児島県瀬戸内町の大島海峡。そのダイナミックで美しいサンゴを世界一と呼ぶ人もいた。巨大なテーブルサンゴの上をダイバーが優雅に泳ぐ姿は、パンフレットや広告に使われた。
だが、その光景を見ることはもはやできない。サンゴ減少のきっかけは98年の白化だった。まだ回復しない00年、天敵であるオニヒトデの大発生に見舞われた。集中的に駆除しているわずかな海域を除き、現在もサンゴはほぼ壊滅状態だ。
「サンゴがだめになってブダイやハタなどの魚も減ってしまった」。サンゴ礁の海で約40年潜ってきた高田さんは嘆く。00年度に100トン以上あった瀬戸内漁協の突き漁の漁獲量は、4年後には4分の1以下に減った。
ダイビングへの影響はさらに大きい。5年前に町内に23業者あったが、いまは7業者に減った。「サンゴはないし、海が汚れているからね。ダイバーも来ないですよ」。業者でつくる「海を守る会」の顧問、迫田藤雄さん(63)は気をもむ。
町と県はオニヒトデの駆除に年間900万円使う。これとは別に漁協は、水産庁の助成をもとに漁師が駆除したオニヒトデを1キロ400円で買い取る。突き漁の減収分を埋める貴重な財源だ。
猛威をふるったオニヒトデの大発生は、ようやく終息の兆しが見える。02年度に13万匹以上だった町の捕獲数は、昨年度約3000匹に減った。だがサンゴはまだ戻らない。
高田さんは「今回はこれまでと違ってサンゴの回復が遅い」と言う。
迫田さんの考えはこうだ。「回復が遅いのは、マグロなどの養殖、赤土や農薬、生活排水の流入などで海峡の水質が悪化しているからだ。生態系が変化しており、相手はオニヒトデだけではないと思う」
(編集委員・石井徹) Asashi.com























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