北極圏で今春、観測史上最大のオゾン層破壊が起きていたことが、国立環境研究所(茨城県つくば市)など9か国の国際研究チームの分析で分かった。
失われた量は、北極圏のオゾン層全体の約40%に達し、成層圏内の18~20キロ上空では、最大で80%に及んだとみられる。3日の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
大規模なオゾン層破壊が起きたのは、グリーンランドとスカンディナビア半島の間からシベリアの北部を通る長さ3000キロの細長い範囲で、日本列島が入る大きさ。オゾン層の濃度は季節の変動があり、北極圏では春に最も薄くなる。同半島やロシア北部では、3月から4月にかけて、数十日にわたり深刻な低オゾンの状態が続いたとみられる。北極圏のオゾン層の減少量は、2000年代には30%程度だった。
4月後半には、オゾンが薄い範囲が崩れて、一部が気流に乗って日本上空にも到達。同30日には、つくば市でも通常よりやや高い紫外線量が観測された。
今年は、冬季に上空にできる低気圧の渦(極渦)が過去30年で最大の規模で、温室効果ガスの影響も加わり、フロンなどによるオゾン層の破壊を進行させたとみられる。
国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカが九州では減少の一途をたどり、絶滅の危機に直面している。
大分、熊本、宮崎3県にまたがる九州山地の生息域で食性が重なるニホンジカが急増し、餌が不足していることが一因とみられるほか、皮膚感染症の拡大も懸念されている。保護を担当する3県教委は8月から実態調査を始め、対策を探っている。
ニホンカモシカは本州や四国、九州に生息し、その数は本州では増加か横ばいの地域が多いのに対し、九州は減少傾向が続き、環境省のレッドリストは、九州のみ絶滅の恐れが高いとしている。
3県教委が、ふんや足跡をもとにはじき出した九州の生息数(推定)は、1994~95年度の2000頭に対し、2002~03年度は500頭に激 減。生息に適した高地を多く抱える大分県内では過去5年の目撃情報が06年度の9件から年々減少。09年度は5件、10年度は3件にとどまった。
減少の要因として指摘されているのは、カモシカと同じ広葉樹やササ類の葉を食べるニホンジカの急増だ。シカの九州山地の生息域は、もともと南部などに点在する程度だったが、全域に拡大してきた。
一方、全域で確認されていたカモシカは北部や南部の高地に集中する傾向が見え始め、「餌不足などのため、繁殖力の強いシカに追いやられたのではな いか」(大分県教委文化課)とみられている。九州は本州に比べ、カモシカの生息域が狭く、シカとの住み分けがしにくい事情もあるという。
携帯電話、デジタルカメラなど身の回りの家電製品から、金属・貴金属、レアメタルなどを回収する都市鉱山リサイクルを促進するため、環境省は新たな制度の骨子をまとめ、22日、中央環境審議会の小型電気電子機器(小型家電)リサイクル制度小委員会に示す。
市町村が中心になり、中間処理、精錬業者などとともに仕組みを作り、回収技術の確立している金、銀、銅、亜鉛、パラジウムなどを抽出する。対象と して、消費者などから料金を徴収せずに採算がとれる45品目を列挙。その他のレアメタルについてはさらに検討し、法案を来年の通常国会に提出する。
環境省の試算によると、1年間に使用済みになる小型家電(97品目)に含まれる資源として価値のある金属(計14種類)は重量で28・4万トン、 金額で874億円。しかし、家庭から出る小型家電は、種類により21~61%が燃えないごみとして出され、多くは埋め立て処分されている。
梅田川沿いに群生するスパルティナ・アルテルニフロラを調べる滝崎氏(13日、愛知県豊橋市で)
米国やニュージーランドなどで深刻な外来生物問題を引き起こしているイネ科スパルティナ属の植物の一種「スパルティナ・アルテルニフロラ」が、愛知県豊橋市で繁殖していることが分かった。
スパルティナ属が国内で見つかったのは初めて。外来生物法で輸入が禁止されている同属の「スパルティナ・アングリカ」に近い種で、繁殖力が強く、国内の生態系を乱す恐れが強いという。
環境省の委託で外来生物の情報収集をしている財団法人・自然環境研究センター(東京都台東区)によると、見つかったのは豊橋市南部の梅田川河口付近で、約1キロにわたり、高いところで約2メートルに成長し、群落を作っていた。
原産地は北米東部。アルテルニフロラを含むスパルティナ属が侵入した米国西部ワシントン州では、干潟が草地に変わり、魚や鳥の餌場や生息地が失われたという。
日本への侵入経路は不明だが、繁殖地が国内有数の貿易港の三河港に近いことから、積み荷のない船がバランスを取るために積むバラスト水に「種子が紛れ込み、外国から持ち込まれた可能性がある」(「愛知県移入種検討会」の滝崎吉伸委員)という。
虫の調査、研究をしている「山口むしの会」は、分布域が北上している南方系のトンボ「アオビタイトンボ」が下関市豊浦町のリフレッシュパーク豊浦で生息しているのを確認したと発表した。
昨年と今年、山口市、宇部市でも見つかっており、同会は「本州に上陸していることがはっきりした」としている。
会によると、雄の腹長が18~25ミリの小型のトンボ。額の一部が紫青色に輝いており、その美しさから「空飛ぶ宝石」とも言われている。
かつて国内では、沖縄・大東諸島だけに生息していたが、温暖化の影響か、沖縄本島、九州南部へと広がり、これまで福岡県まで確認されていたという。
同園は今年、トンボを観察できる池を整備するため会員に調査を依頼。調べたところ、20~30匹生息しているのが見つかった。環境省のレッドデータブックで絶滅危惧2類に分類される「ベニイトトンボ」も確認された。
太陽光パネルで発電した電気を、電気自動車に蓄えて各家庭に供給する――。
広島県は福山市や民間企業などと、そんな未来型エコタウンを目指す構想を進めている。東京電力福島第一原発事故で自然エネルギーへの関心が高まる中、いち早く取り組むことでノウハウを他県に売り込み、地域活性化につなげる考えだ。
県によると、同市と尾道市、造船会社「ツネイシホールディングス」、中国電力、岡山県立大などと連携。ツネイシホールディングスの本社がある福山 市沼隈町と、隣接する尾道市浦崎町をモデル地域に指定。同社工場内に太陽光パネルを設置し、社宅と協力を得られた市民宅を対象にする。
パネルと電気自動車をつないで蓄電し、住宅へと運ぶ。その間に目減りする電力量などを調査、無駄のないシステムを構築する。環境学習の教材としてもPRし、他県の視察団を積極的に誘致することで、観光客数の増加を図るという。
個人や一般企業が電気を融通し合うことは、電気事業法で規制されている。そのため県は、特定地域で大幅に規制を緩和し、地域活性化を促す国の総合特区制度に構想を「環境観光モデル都市総合特区」として、9月にも申請する。
自然エネルギーを巡っては、ソフトバンクの孫正義社長が大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を提唱。35道府県や17政令指定都市と協議会を設立するなど、普及への動きが活発化している。
県は「発電規模が小さくても、実用化が可能なことを示したい。電力不足で生活に影響が出ている中、先進的な事例として全国に売り込んでいく」と意気込む。(平井宏一郎)
飛島に流れ着いたゴミ(山形県酒田市飛島の勝浦港で)=酒田市提供
山形県酒田市の離島・飛島に大量のゴミが流れ着き、酒田港と飛島を結ぶ定期船「とびしま」が、26日午後から欠航するなどの影響が出ている。
同市や県庄内総合支庁によると、ゴミは丸太や立ち木のほか、ペットボトルなどもある。23日から24日にかけて降った大雨で、最上川などの河川から流れ出た可能性が高いという。25日から漂着し始め、26日には島全域を覆った。
飛島での定期船の発着港になっている勝浦港もゴミに覆われたため、同市定期航路事業所は、「定期船のスクリューなどがゴミによって傷つき、故障する可能性がある」として、26日午後から運航を中止している。
同事業所の元木満所長は「ゴミで島に船を出せなくなることは今までなかったのではないか」としている。
県庄内総合支庁は27日午後、重機を積んだ船2隻を使って勝浦港周辺のゴミを一部除去した。この作業で港の一部が使えるようになったため、同事業 所では28日午前9時半に酒田港を出発する定期船から運航を再開する予定。ただ、ゴミを取り除いた場所に新しくゴミが漂流する可能性もあるため、最終的に は出港1時間前に決めるという。
鹿児島県屋久島町は14日、世界自然遺産に登録されている縄文杉など屋久島の自然を保護するため、指定地域への立ち入りに町長の承認を義務付け、立ち入りを制限する条例案を町議会(定数20)に提案した。
23日の最終本会議で採決される。
条例案によると、特に保護措置が必要な自然観光資源として、〈1〉縄文杉に向かう「大株歩道」周辺の自然植生〈2〉永田浜のウミガメ〈3〉西部地 域の生態系及び歴史的資源――を指定。指定地域へ立ち入る場合、町長への事前申請と承認が必要となり、申請手数料として1人400円を徴収し、1日の立ち 入り人数を制限する。サルやシカなどの野生動物に餌を与えることも禁止し、指示に従わない場合には30万円以下の罰金も盛り込んでいる。
東日本大震災とその後の電力不足で、自然エネルギーへの関心が高まる中、パナソニックと神奈川県藤沢市などは、パナソニックの藤沢工場跡地(約19ヘクタール、藤沢市辻堂元町)に、省エネなど環境配慮型の新しい街を建設すると発表した。
総工費は約600億円。1000世帯(3000人)全戸に太陽光パネルを設置する。2012年度内に着工し、13年度の街開きを目指す。黒岩祐治・神奈川県知事も太陽光発電の推進を打ち出しており、太陽光発電を活用した街づくりが県内で本格化してきた。
工場跡地に建設される街「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」は、JR藤沢駅と辻堂駅の中間に位置する。街づくりには藤沢市と同 社のほか、三井不動産、東京ガス、住友信託銀行など8社が参加する。全戸に太陽光パネルと蓄電池を備え、省エネ機器・家電を導入。夜間や停電時には、蓄電 池にためた電気を使う。
同様の仕組みを店舗や施設にも導入し、それぞれの電気機器を街全体でネットワーク化。IT技術を用いて電力使用量をコントロールし、エネルギー利用の効率化を図る。街全体で二酸化炭素排出量を70%、生活用水の使用量を30%削減できるという。
また、街に電気自動車(EV)の急速充電器を設置し、EVのカーシェアリングを行うことで、車が少ない住宅街を目指す。公園や緑を多く配置するほか、LED街路灯や防犯カメラを設置して街全体のセキュリティーを充実させる。
パナソニックの大坪文雄社長は26日の記者会見で、「(数ある)スマートシティ構想のなかでも先進的な『藤沢モデル』を作り出し、発信していく。 藤沢を出発点に、世界中でスマートタウン作りに貢献したい」と意気込みを語った。藤沢市の海老根靖典市長も「先進的な街の誕生で、藤沢への関心は間違いな く高まり、市全体への波及効果も期待できる」と述べた。
政府は17日、東日本大震災を踏まえ、経済政策の優先順位を見直す「政策推進指針」を閣議決定した。原子力を柱としたエネルギー政策の見直しを明 記したほか、6月までに参加の可否を判断するとしていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については判断を先送りした。昨年6月に決定した新成長戦 略をめぐっては、新成長戦略実現会議を月内に再開し、指針に沿って見直し作業に着手する。年末までに新たな戦略を具体化する方針だ。
エネルギー政策の見直しについて、玄葉光一郎国家戦略担当相は17日、「新エネルギー、省エネ技術への集中投入を図る」と述べた。東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原発の安全対策を強化するとともに、安定供給と経済性、環境性能を満たす戦略立案を進める。
また、TPPの参加の可否について、与謝野馨経済財政担当相は17日の会見で、「(アジア太平洋経済協力会議が開かれる)11月には日本の態度を 決めないといけない」と語ったが、指針では、震災で被災した農林漁業者の心情や産業空洞化懸念に配慮し、「(参加の判断時期は)総合的に検討」と記すにと どめた。
従来は6月に示すとしていた農林漁業の再生戦略の基本方針も「復旧・復興の進行状況を踏まえ検討する」と先送りした。
新成長戦略の目玉だった原発や鉄道などを海外に売り込む「パッケージ型インフラ海外展開」も「再検証」し、日本の原発に対する信頼性向上を図りな がら輸出の可能性を探る考えだ。震災で物流網が寸断され、産業空洞化懸念が高まっていることも踏まえ、産業立地の競争力を高める政策を展開する方針。税と 社会保障の一体改革は従来方針通り、6月までに成案を策定する。
震災で被災した皆さんのご労苦は、どれだけのものか私にはわかりません。親族を亡くされ、友達を失い、心中痛み入ります。
復興のためのボランティアにも参加しましたし、義援金や物資も送りました。しかし、もっと根底を正すべきです。
計画停電以降、町の照明がダウンしても犯罪は増加していません。自販機の照明がなくても、夜、買う人は買い、販売は落ち込んでいないそうです。やればできるんです。
今回も、数々の復興計画への提言を多くの行政にしてきました。過去にも何度と無く、新エネルギーへのシフトを打診しました。しかし、現行の太陽エネルギー・風力エネルギーでは、全然カバーできないのが実情です。日本ならではの、地熱、温泉水利用のエネルギー転化が最もコスト面でも・安全面でも理にかなっています。今こそ、火山列島日本、四方を海に囲まれている利点を生かした、エネルギー政策に切り替えるべきです。バイオマスとか言う前に、日本の地の利を考えた、新規軸を実行してほしいと思います。
地熱発電に関して、多くの問題をクリアーしなくてはなりませんが、原子力発電のように、放射性廃棄物の処理コストが不要であることは、優れた点だと思います。何事にも、メリットとデメリットがありますが、今回のような事態を招くことを考えれば、デメリットは、原子力発電の比ではありません。
エネルギー政策について、明日から多忙につき、毎日は語れませんが、掲載していこうと思います。
◇横浜国大・宮脇昭名誉教授、被害状況を調査
東日本大震災の被災現場に宮脇昭・横浜国立大名誉教授が2回にわたって入り、仙台市から岩手県釜石市までの樹林の被害状況を調査した。海岸線に延 びるマツ林は壊滅状態だったが、土地本来の常緑広葉樹は根を張って持ちこたえたものが目立った。調査結果を踏まえ、宮脇さんは海岸線などに土を盛り、常緑 広葉樹を植樹する「緑の防波堤」づくりを提案している。【山本悟】
南北にわたって幅約100~600メートルのマツ林が連なる仙台市若林区荒浜地区。住宅地に接する海岸部ではマツが大量に流され、山側に傾いたマ ツと根元1メートルほどで切断された幹が点在している。家が全壊した住宅地が間近に見える。マツの木は約2キロ内陸の田畑にまで流されていた。
緑を失い灰色がかった林の跡の中央部で、ひときわ青々と葉を茂らせた、高さ2メートルほどの株立ちのマサキが目を引いた。ネズミモチやシロダモな ど近くの常緑広葉樹の低木も無傷に近い状態だった。宮脇さんの過去の調査では、釜石市の北部から南の東北沿岸部は常緑広葉樹が土地本来の樹木で、タブノキ を中心にマサキやヤブツバキなどが森を形成していた。しかし、広葉樹は伐採され、防潮林などにマツが植えられた。
国土地理院作製の津波浸水図によると、同区では内陸約5キロまで津波が襲った。宮脇さんは「人工的に植えられた、根の浅いマツと異なり、深く根を張る常緑広葉樹がいかに巨大津波にも耐えるかを示す見本となる」と指摘する。
岩手県大船渡市の中心部から車で約20分の同市三陸町綾里の小石浜漁港。津波は堤防間近に切り立ったがけの高台(高さ約13メートル)に建つ市杵 島神社を襲い、高さ約3・5メートルの石の鳥居を倒した。鉄筋入りの円柱の一部が約10メートルも離れた道端に転がる。しかし、社殿と背後に広がる住宅地 には被害がなかった。
がけには、直径約30センチのヤブツバキやマサキなどの常緑広葉樹が高台を覆う形で密生しており、これが津波の勢いを止めた。中島信神主(80)は「もしも木がなかったらと考えると、ぞっとする」と話した。
標高14メートルの丘陵部の森に囲まれた、宮城県気仙沼市波路の琴平神社は、隣の民家は1階が破損したものの、神社に避難した住民は無事だった。 森はタブやシロダモ、シャリンバイなど6種類の常緑中高木で、宮脇さんは「神社や寺には常緑広葉樹が植えられ、切るとばちが当たるという、たたり意識で 守ってきた。鎮守の森は絶好の避難所になる」と解説する。
仙台市若林区や石巻市の田園地帯には、住宅を囲む屋敷林が点在する。地元では「いぐね」と呼び、風雪や火災、洪水から家屋を守る。
多くの住宅が津波に流された同区の井土、三本塚の両地区では、ヒノキやカシなど針葉樹と広葉樹の屋敷林は健在で、住宅は全壊を免れた。どの家屋も1階部分は破損しているものの、2階部分はそのまま残っていた。
松林を抱える海岸線から約1キロ入った井土地区の農業、三浦重一さん(64)は「身を守るために屋敷に木を植えることは必要だし、海や波が見えなくなるため、恐怖心も和らぐ」と話していた。
調査を終え、「土地本来の常緑広葉樹が、大津波でもいかに被害を最小限に食い止めるか再認識された」と話す宮脇さんは、常緑広葉樹による緑の防波 堤づくりの方法として、膨大ながれきを埋め、その上に土盛りすることを提案する。また、住民が避難する学校や病院の周囲での樹林づくりも訴えている。
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